2020-04

11・21(水)ナタリー・デセイ

  東京オペラシティコンサートホール

 デセイの「オペラ・アリア・コンサート」3回のうちの最終日。満席。
 
 イタリア・オペラでまとめたメイン・プログラム。ヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」の「シチリアーナ」と、「椿姫」の「ああそは彼の人か~花より花へ」、ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」から2曲。ただしアンコールは、マスネの「マノン」の「ガヴォット」、プッチーニの「ラ・ボエーム」から「ムゼッタのワルツ」。

 テクニックもさることながら、その表現力の凄さには舌を巻かずにいられない。
 ほんの一例だが、「ルチア」の「あたりは沈黙に閉ざされ」の歌い出しの個所での、寂寥感と不安を一瞬にして感じさせる神秘的な雰囲気から、真の愛の訪れを意識しつつ次第に気持が晴れていくまでの表現の変化のすばらしさだけでも記憶にとどめておきたい。
 歌詞に応じて声の表情が、何段階かにわたって、虹の色のごとく変わっていく。感情の変化が、完璧に声で表現されているのだ。それはまた、シェーナ~カヴァティーナ~カバレッタという「形式」と、ヒロインの感情の変化とを寸分たがわず一致させる、という演奏上の大わざでもある。かりに歌詞を全く知らずに聴いたとしても、このアリアの内容は大方理解できてしまうだろう。名歌手の歌というのは、そういうものなのである。まさに、オペラの「音楽」の醍醐味ここにあり、だ。

 なお「狂乱の場」で、ドニゼッティの原案にあったグラス・ハーモニカ(今回はそれにそっくりな音色のヴェロフォン)が、フルートの代わりに使用されていた。そのまろやかな音色とソプラノの声とが交錯しあうさまは、聴き慣れぬという違和感はあったものの面白いことは事実で、貴重な機会でもあった。
 
 協演はエヴェリーノ・ピド指揮の東京フィル。ロッシーニやヴェルディのシンフォニアや序曲などを数曲演奏した。だがこのオーケストラ、オペラの時になるとどうしてこう、スカスカで痩せた音の演奏をするのやら。

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