2019-05

2・26(土)川瀬賢太郎指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

   ティアラこうとう大ホール  3時

 今年27歳になる若手指揮者。既にあちこちのオーケストラを指揮して話題になっている。ところがどういうわけか私は、これまで彼が大きなシンフォニーを指揮するのを聴く機会がなかった。
 なので、今日のブラームスの「第4交響曲」を楽しみにして出かけて行った次第。プログラムには他に、デュカの「魔法使いの弟子」と、伊藤康英の交響詩「ぐるりよざ」が含まれていた。

 実に真面目な、几帳面な指揮をする人だ。礼儀正しすぎる演奏というべきか。
 ブラームスの交響曲では、大詰めでの追い込みには勢いもあったし、第1楽章の展開部の最初で弦の第1主題がホ短調で出て来る個所(第145小節)――あたかも提示部の反復かと思わせる個所である――にはハッとさせられるようなためらいがちの美しさがあふれていて、この人は素晴らしいセンスを持っているなと嬉しくなったのだが、演奏全体としてはやはり端整そのものだ。

 「魔法使いの弟子」でも、序奏ではただ遅いテンポが印象づけられるのみで、魔術の世界への導入といったミステリアスな雰囲気が感じられない。そのあとのホウキが動き始めるあたりのリズムにも、正確さを重視する指揮のためか、ワクワクさせるような躍動感に不足するという傾向がある。

 真摯なところは好感が持てるし、またそれは無くてはならないものではある。が、若い指揮者としては、演奏にもっと傍若無人な乱暴者――とまでは行かずとも、若さの特権たる気魄と輝きがあっていいのではないかという気がする。若いうちからあまり分別臭い音楽をつくって、その範囲の中でちんまりと纏まってしまうような指揮者になってもらいたくないものである。

 だが、彼の指揮には、清涼な、一種の日本美術的な――とでも言っていいような美しさも感じられて、これが私を不思議に惹きつける。もう少しいろいろなレパートリーを聴いて行ってみよう。彼はこの4月から名古屋フィルの指揮者にも就任する。

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