2019-05

11・22(月)マリス・ヤンソンス指揮コンセルトヘボウ管弦楽団のマーラー「3番」

   サントリーホール  7時

 前日のオーディオ協会での延べ5時間に及ぶソロ講演で、坐骨神経痛がまた悪化、「ザ・コツシンケー・ツー・ミー」などと洒落ている余裕もなくなった。
 午前中にペイン・クリニックで神経根ブロック注射を受け、何とか激痛を和らげてもらい、夜のヤンソンスを聴きに行く。休憩なしの総計2時間座りっ放しでは腰への悪影響が避けられないのは承知だが、背筋を伸ばした座り方で辛うじて切り抜ける。後ろのお客さんへの迷惑もあり得るので、最後部のハイバックの椅子席に変えてもらえないかと事務所に頼んでみたが、「今日は満席で無理」との返事。
 とにかく全曲100分、音楽に没頭できたのは、曲がマーラーの第3交響曲だったこともあろう。以前、肘だかどこだかの筋肉痛に悩まされていた時、ショスタコーヴィチの後期の交響曲をこのホールで聴いていて、ヘトヘトになったことがある――。

 それにしても、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、いつに変わらぬ良いオーケストラだ。
 今夜はトランペット、ホルン、ポストホルンの一部にぐらつきが何度か出てヒヤリとさせられたものの、全体としてはやはり卓越した実力を備えた老舗管弦楽団であることは言うを俟たない。これだけの壮麗さと量感とを持った「3番」を演奏できるオーケストラは、決して多くないであろう。

 マリス・ヤンソンスは、今回も真摯に誠実に、ストレートな表現でこの長大な曲を指揮して行った。何のケレンも、あざとい誇張もない演奏構築で、それはそれでこの曲の素晴らしさを充分に表出させた指揮なのである。

 ただ私としては、2年前のコンセルトヘボウ管との来日で聴かせた「ドボ8」や「ラ・ヴァルス」で、ヤンソンスが著しく個性的な新境地を開拓しはじめたことが大変面白かっただけに、15日の演奏会同様、今回は些か拍子抜けした感もある。
 レパートリーの性格にも影響するだろうから、一概にどうこうとは言えない。
 しかし、バイエルン放送響を指揮する時よりも、こちらコンセルトヘボウ管の時の方が、ヤンソンスは思い切ったことが出来るようになって来ていたはずである。それを楽しみにしていたのだが――。

 それにまた、このオケの音色が妙に鋭くなっていたことも、少し気になった。
 かつてシャイーの首席指揮者時代にこのホールで演奏した同じ曲の、包み込むような豊麗さを持った響きと比較するのは意味がなかろう。だが、今日の演奏ではどういうわけか、金管も木管も、鋭角的な音が耳を劈く。
 もしかしたらヤンソンスは、その持病による体調のせいで、2年前に比べてオーケストラを微細な部分まで制御できなくなっている状態にあるのではないかしら――という危惧が、頭の中をよぎった。杞憂であってくれればいいと思う。
 今夜も彼はソロ・カーテンコールを受けた。この上なく愛されている指揮者なのである。

 アルトのソロは、アンナ・ラーソン。舞台下手寄り、木管奏者の左側に位置。2階席から見てさえ、ひときわ長身ぶりが目立つ。
 合唱は新国立劇場合唱団とTOKYOFM少年合唱団で、P席前方2列を占めた。その後方には一般聴衆が入るという珍しい形が採られた。後ろのお客さんたちは、合唱団員が起立している間は、舞台が全然見えなかったのではなかろうか。

 終演後、ホール出口の傘置き場の雑踏をすり抜けて歩いていると、ある初老の男が2、3人の女性を相手に「こういうオーケストラを聴いたら、日本のオーケストラのマーラーなんてとても聞けませんよ」と、物知り顔に話していた。「どれか日本のをお聴きになりました?」と女性客が訊ねると、彼は「いや、聞いてません」と平然と答えていたのである。
 こういう手合いには、本当に腹が立ってならない。ヤンソンスとコンセルトヘボウを讃えるという気持は同じだけれども。

※見舞いやアドヴァイスを数多く頂戴しました。御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

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コンセルトヘボウ&ヤンソンスのマーラー3番は、現地オランダでのものを9月にテレビで見たニャ。生聞くにはそれは体力がいりますニャ。東条先生、その後の栄養には、アジかな、サンマかな、それともねズミかニャ?!引き続き、お大事に・・・。日本人のマーラー・・・、若杉さんの指揮を思い出します。

ロイヤル・コンセルトヘボウは本当に素晴らしい音と響きを出すオーケストラと思います。
20日のサントリーホールでの名曲コンサート的プログラムと、21日のミューザ川崎のマーラーを聴きました。
全く性格の違うプログラムでしたが、両方とも楽しませていただきました。
21日も、ホルンさんだと思いますが、少々不安定な感じがしました。
連日の本番で、お疲れなのでしょうか。

東条先生、お見舞い申し上げます。ホールでお姿をお見掛けし、マラ3の長丁場で大丈夫だろうか?と心配しておりました。

最後に書かれている初老の男と連れの女性とのやり取り…恐らく同じものを私もたまたま耳にしました…。
信じられない発言で、唖然としました。素晴らしかった演奏による感動がいささか薄れました。
最後の和音の残響が消えるまで拍手しなかった聴衆に感心した後だっただけに、余計に残念に思った次第です。

生半可通

全くもって、日本のオケを貶め、外国のオケなら何でも礼賛という輩には毎度腹が立ちます。こういう手合いはだいたい女性を相手にしているのも共通しています。自分がもてないのも怒りの理由ですが。

まぁそれはともかく、今月ソニーから出たオーマンディのブラームスが素晴らしいのにビックリしています。いまさらながら大指揮者だったと…。

コンサート日記を楽しみにしている多くのファンのためにも、
くれぐれもお大事になさってくださいませ。

坐骨痺れたときの音楽聴くコツ

坐骨神経痛時、長時間音楽聴くときこんな対処しています。
・冷やさないように貼るカイロを当てています。(背もたれに深く腰掛けていると、熱くて慌てて楽章間ではずすことにならないように工夫しつつ)
・コルセット(医者であたる全額負担の7千円クラスのサポートがたくさん入ったもの)をしながら、クロークでブランケットを腰に巻きつけ冷やさない。
・椅子は硬いものが良いです。(東京文化会館の椅子は背もたれが硬いから好きです。新国は意外と柔らかいから。サントリーは柔らかすぎ)
・坐骨のブロック注射、10年前は痛かったです。今は、針が痛くなくなりました。
寝るときは、畳の上、布団の固いもの。そうすると、コンサートでの神経痛の痺れが次の日に引きずること少ないです。
・俗に中途半端なしみったれた天気の日ほど、何もしないことです。
(今日11月26日は、つま先まで痺れています。時節の移り変わりのコンサート通いも考え物です。27歳のとき痛めて以来、この季節はもっともいやです。一雨毎に)これからもっとも神経痛がひどくなります。誰にも判ってもらえない痛さです。
ブロック注射、癖になります。今日はコンサートやオペラだから、注射して置けば良いものでもないです。
昼夜2公演、聴くような無理やらないことにしています。

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