2019-07

11・8(月)庄司紗矢香&ジャンルカ・カシオーリ

   サントリーホール  7時

 10月23日から行われていたツァーの、今日が最終日。ベートーヴェンの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」から、「第2番」「第5番 春」「第9番 クロイツェル」、さらにアンコールとして「第8番」の第2楽章――というプログラムだ。
 「2番」と「9番」は、先ごろ出たCDと同じ曲目。最近は来日公演と同じ曲を直前にCDでリリースするのがとりわけ流行るらしい。12月のエレーヌ・グリモーもそうだし。

 2年ほど前だったか、庄司紗矢香のリサイタルでベートーヴェンの「7番」のソナタを聴いたが、その時にはむしろ抒情的な美しさが目立つ演奏という印象だった記憶がある。
 だが今は、彼女の演奏はがらりと変貌していた。
 3曲とも、あたかも求道者が対象を極めるように、主題の一つ一つ、フレーズや音符の一つ一つまで突き詰め、作品の内面に迫って行こうとするような、おそろしく厳しい姿勢を感じさせる。それは、聴き手を息詰まるような緊張の中に巻き込む演奏だ。

 最近の若手演奏家の中には、これと同じようなことを試みる人も多い。だが、庄司が彼(彼女)らと異なる点は、その演奏解釈が作品の性格との間に肉離れを起こしていないことにある。庄司紗矢香はこの若さながら、本当に凄い演奏家になったものだと思う。

 彼女のこの演奏に対し、カシオーリのピアノは常にある種の自由さを保ち続け、その緊張を和らげようとする役割を果たしていたかのようであった。このせめぎ合いが不思議な対決感のようなものを生み出していたように思われる。

 こういう演奏には些か疲れを覚えるけれど、聴き慣れたソナタが思いがけぬ容貌を以って現われて来るという、そのスリルに非常な快感を覚えることも確かである。作品からは、造型や端正さ、流麗さといった要素が剥ぎ取られる。いわば「脱・古典派」の性格をより強く帯びるとも言えよう。

コメント

庄司さん良かったですね。でも、正直に言うと、感動したのはカシオリの自由自在のピアノ!

コメント少なすぎ。愛好家はもっとホールに行くべし。

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