2020-04

11・4(日)クリスティアン・ティーレマン指揮ミュンヘン・フィル

 サントリーホール

 いよいよ帝王的な風貌になってきたティーレマン。日本での人気も、今や熱狂的なものになってきた。
 今日はブルックナーの「5番」。ワーグナーものやR・シュトラウスものの時とは異なり、パウゼをことさら引き伸ばしたり、テンポを大幅に動かして見せるといった、得意の大芝居を見せるわけではない。その点、ちょっと物足りないところも感じてしまうのだが、しかしそうそうキワモノ的なイメージを彼に対して抱くわけにも行くまい。

 とはいえ、要所に聴かせるテンポとデュナミークの設定などには、いかにも彼らしい凝ったものがある。たとえば第4楽章(H)の直前10小節間でテンポを大きく落し、スコアのpppの指定を極端に強調して、次のコラール主題の登場に向けていやが上にも緊張を強めていくあたりの呼吸などはほんの一例である。全曲冒頭からスコアにある弱音と最弱音が特に強調されて演奏されていたが、これは全管弦楽が咆哮する個所との効果的なデュナミークの対比を作り出していた。

 ただ、こういうことは他の指揮者も行なっていることなのに、ティーレマンがやるとそれが殊更演出っぽく聞こえてしまうのは、必ずしも彼に対する先入観のためだけではないようである。ミュンヘン・フィルの響きは、ちょっと聴いたところではそれほど緻密なものではないけれども、聞こえて欲しい個所はちゃんと浮き出て聞こえるようになっている。スケルツォ楽章の[M]のホルン2本のフレーズなど、普通は聞き逃しがちな個所だが、これがさりげなくオーケストラの中に影のように浮かび上がると、ブルックナーの音楽はいよいよ多彩なものになってくる。
音楽の友08年新年号演奏会評

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