2020-07

10・30(火)相沢吏江子ピアノ・リサイタル

 東京オペラシティ リサイタルホール

 東京オペラシティのリサイタル・シリーズ「B→C(バッハからコンテンポラリーへ)」第95回として行なわれたもの。小さいホールだが、超満員。

 彼女の演奏を初めて聴いたのはほぼ20年前、カザルスホールでモーツァルトの協奏曲を弾いた時だった。あれはまだ彼女が10代前半の頃。大型新人の出現として、大変な話題を呼んだものである。今はニューヨークに居住の由。当然ながら雰囲気も音楽も、別人の趣になっている。今回、久しぶりに聴いて、うたた感ありといったところ。

 プログラムは、バッハの「前奏曲とフーガ」BWV.867、ヤナーチェクのソナタ「1905年10月1日」、モーツァルトのソナタK.330、ジョン・ハービソンの「ギャツビー・エチュード」、マクダウェルの「ゲーテによる6つの田園詩」より3曲、神本真理の「空間に戯れて・・・」(初演)、最後にグリーグのソナタ。
 実に流れのいい曲目構成で、連続して弾かれたバッハとヤナーチェクの作品がこれほど見事に対比されて繋がるのだということを発見できたのもうれしい。モーツァルトも隅々まで神経を行き届かせた演奏であり、それは聴き手が快く身を委ねられるタイプのものというより、変幻自在の緊張を生み出す音符とフレーズの一つ一つに真剣な対決を迫られる表現といったものに受けとれた。ただこの印象は、彼女の意図したところとは、あるいは違っているかもしれないが。
 とりわけ面白かったのは、東京オペラシティ文化財団委嘱作の「空間に戯れて・・・」である。足踏みや声を交えての、リズムとアルペジョの非調和的な組合せの妙。

 こうしたバッハからコンテンポラリーの作品にいたるまで、いずれもこのピアニストの多彩な面を窺わせるものだったが、最後にそれらをすべて呑み込んでしまっての大団円、という印象を与えたのは、グリーグのソナタでの、豪壮豊麗な演奏だった。
 前半では鋭角的な緊迫感、後半では大きなスケール感、というプログラム構成、つまり演奏の対比を生み出す構成もなかなかいい。
 この次は、大きな空間をもつホールで、たっぷりとした響きの彼女の演奏を聴いてみたいものだ。

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