2018-12

7・30(金)飯守泰次郎指揮関西フィルの「トリスタン」第2幕

 ザ・シンフォニーホール 7時

 午後3時半のANAで鹿児島を発ち、4時45分大阪伊丹空港に着く。ホテルに寄って荷物を置いてから、ザ・シンフォニーホールに向かう。

 飯守泰次郎が指揮するワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」第2幕(演奏会形式)は、以前から楽しみにしていたものだ。ロビーでは、東京からも駆けつけた何人もの「同業者」たちに出会う。「飯守のワーグナー」は、今や「追っかけ」を抱えているようである――かく言う自分もその一人だが。

 関西フィルハーモニー管弦楽団も、よく頑張っている。オーギュスタン・デュメイを新しく音楽監督に迎え、東京公演をも定期的に開催するなど、このところ積極的な攻勢に打って出て、かなり目立つ存在になっているのも事実だ。

 飯守の指揮でワーグナーの管弦楽曲集を演奏した時に、西濱秀樹事務局長がロビーで「関西フィル最初で最後のワーグナーですよ! もう二度と聴けませんよ!」と変なPRをしていたのは、たしか3、4年前のことではなかったかしらん。ところがどうして最後どころか、それ以降も飯守とのワーグナー・プロはしばしば行なわれるようになった。
 しかし、たしかにこういう大編成ものでは、多くのトラ(客員奏者)を必要とし、カネがかかって大変だろうと思う。今日も、60名前後の正規団員のほかに、バンダのホルン6本をはじめ、30名近くのトラを加えての演奏だった。

 したがって、アンサンブルそのものは、必ずしも完璧とはいいがたい。だがもともと飯守は、所謂縦の線を合わせるとかいう指揮で売る人ではない。それでも、飯守独特のヒューマンな滋味を湛えたワーグナーの世界は、はっきりと創られていた。それが何より重要だし、それだけで充分であろうとさえ思える。

 前半に演奏された「タンホイザー」序曲も――この半年ばかりの間にウィーンやベルリンで聴いたものも含めて、最も感情のこもった、機能的なものに陥らない演奏の一つであったという気がする。
 休憩後に始まった「トリスタン」第2幕も同様、最初のうちはオーケストラにややフォーカスが定まらぬ感がなくもなかったが、二重唱に入る頃からは音楽にうねりが加わって来た。そして、「マルケ王の嘆き」から、トリスタンとイゾルデが死の国への憧れを語るあたりの音楽の底知れぬ暗さも、見事に再現されていたのであった。

 トリスタンの竹田昌弘が、明るめの声で、若々しい騎士トリスタンを熱唱していた。イゾルデは畑田弘美だが、この人の声は、この役には少し軽く、柔らかすぎるのではなかろうか。何よりも歌詞とリズムにメリハリが欲しいところである。

 声がパワフルで立派だったのは、ブランゲーネの福原寿美枝だ。何か怖い家庭教師か女監みたいな厳めしいブランゲーネで、その役柄表現には些か疑問もあるものの、ワーグナーを歌うには本来このくらいの声の力が求められるだろう。
 それにもちろん、マルケ王の木川田澄――彼の底力あるバス、ベテランの味のある歌唱、圧倒的な存在感などは相変わらず健在である。この2人の強力さにより、あたかもオペラの名が「マルケとブランゲーネ」と化した感もあったが・・・・。

 他にメーロト役に松原友、短い出番だったがパンチを効かせた歌いぶりで、好かった。クルヴェナールの橘茂も、普通ならオケの最強奏に消えてしまうことの多いあの歌詞をはっきりと聞かせて、たった一声だけの歌だったが、これもご苦労様でした。

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