2017-08

7・29(木)第31回霧島国際音楽祭 
下野竜也指揮キリシマ祝祭管弦楽団

   宝山ホール  7時
   
 11時25分羽田発のANAで鹿児島に入り、霧島国際音楽祭(音楽監督・堤剛)のオーケストラ・コンサートを聴く。国内屈指の大規模な音楽祭だが、何故かこれまで一度も訪れる機会がなかったものだ。

 今年は7月22日から8月8日まで、鹿児島市内や霧島のいろいろな会場でコンサートやマスタークラス(講習会)が開催されている。メイン会場は霧島の「みやまコンセール」(700余席の美しいホール)だが、鹿児島市民に音楽祭への関心を高めてもらう意味もあって、宝山ホール(県立文化センター)など鹿児島市内の会場をも活用している由。

 今夜のコンサートは、その宝山ホールでの開催だ。
 このホールの近くには、城山をバックにした西郷隆盛の巨大な銅像があり、またホール前の一角には、小松帯刀の銅像が立っている。なるほど鹿児島、という感。しかし建物の入り口には、口蹄疫防止のための消毒用マットなどが置かれていたりして、ただ事でない世情をも感じさせる。

 客席数1500余のホールは満席で、聴衆の雰囲気もすこぶる熱い。
 特に昨年に引き続き登場した下野竜也は、地元・鹿児島の出身ゆえに地元メディアからの注目度も非常に高く、それも大入りの基になったとの説もある。
 「今日は雨の中をよくおいでくださいました。去年は灰が降っていました。今年は雨です。来年はきっと雪でしょう」と、彼らしいプレ・トークもあって、これも聴衆を喜ばせたことだろう。

 キリシマ祝祭管弦楽団は、講師とアカデミー生の混合編成だが、弦にはコンマスの藤原浜雄を先頭に松原勝也、鈴木理恵子、四方恭子、山本友重、店村眞積、篠崎友美、鈴木学、吉田秀といった人たち、また管には広田智之、三界秀美、岡本正之、笠松長久、西條貴人、高橋敦ほかといった強力な「講師陣」が頭に並んでいて、壮観だ。
 8型編成だが、下野の纏め方が巧い上に、一騎当千のツワモノたちの音の響かせ方も巧いので、残響の少ないホールながらも音楽のエネルギー感は充分。

 プログラムは、ベートーヴェンの「フィデリオ」序曲と「第5交響曲」、その2曲の間にクシシュトフ・ヤブウォンスキをソリストに迎えたショパンの「ピアノ協奏曲第1番」。アンコールにはバッハのアリア(G線上のアリア)。
 「フィデリオ」序曲をこれほどまとまりの良い演奏で聴けたのは珍しい。「運命」では第2楽章の演奏が出色で、第3楽章ではヴィオラのパワーが目立ち、第4楽章では提示部がリピートされたあたりから音楽に豪壮さが加わった。
 演奏終了後の聴衆の沸き方は凄い。
 またショパンの協奏曲ではヤブウォンスキの右手の変幻自在のルバートがしゃれていて、久しぶりに滋味に富むショパンに出会ったという感。

 翌30日(金)午前中、大阪へ移動するまでの空いた時間を利用して、みやまコンセール(霧島国際音楽ホール)などで行なわれている講習会のうちから、チェロの堤剛のクラスを10分ばかり、それにピアノのヤブウォンスキのクラスを1時間ほど見学させてもらった。
 前者はホール内のリハーサル室で行なわれ、後者はホール近くの、普段は貸別荘として使われているコテージ――バッハという名がつけられたコテージだ――で行なわれる。特にショパンの作品を題材にしてのピアノ・レッスンは、ヤブウォンスキのショパンの音楽づくりを別の側面から示してもらったようなもので、たいへん面白かった。

 昼は「みやまコンセール」の中で、ボランティアの人たちが作るちらし鮨、焼肉、サラダなど、すこぶる豪華なバイキング・スタイルの食事が提供される。
 聞けばここでは、7つのグループに分かれたボランティアの女性たちが、交替で受講生や講師のために作ってくれるのだとか。実に温かい雰囲気である。
 どこの音楽祭でもボランティアの存在は大きいが、ここ霧島国際音楽祭での役割は、ひときわ異色のものと言っていいかもしれない。

 音楽祭開催に欠かせないのは何よりも地元の人たちの理解と共感と協力だ。ここはうまく行っているようである。今年、口蹄疫(霧島は宮崎県の都城に近い)事件などのため、音楽祭の開催についてもいろいろな意見があったというが、誰よりも開催を強く支持してくれたのは、地元の人たちであったという。
 また、霧島国際音楽祭に使われる各会場の間には結構距離もあり、それを結ぶ沿道には、ある地域ごとにたくさんの音楽祭の旗が立っているが、それらは小学校の生徒たちが手分けして立ててくれたものだという話も聞いた。
 鹿児島県知事も、鹿児島市長も、クラシック音楽が好きなのだとか。

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