2020-05

4・26(月)シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団
常任指揮者就任披露(定期)演奏会

  サントリーホール  7時

 聞けばカンブルランは、例の噴火のとばっちりでパリから飛行機に乗れず、マドリードまで車で移動し、南回りの便に乗り、テル・アヴィヴと香港で乗り継いで日本にやって来た由。しかもテル・アヴィヴではトランジットに14時間を要したが、ビザの関係で空港から出られず、折角手配されていたホテルにも入れぬまま空港で時を過ごしたとのこと。到着後もその件では愚痴一つ言わなかったというから、さすが立派なプロ根性である。

 今日の常任指揮者就任披露のコンサートでは、彼はベートーヴェンの「コリオラン」序曲、マーラーの「交響曲第10番」の「アダージョ」、シェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」の3曲を指揮した。
 偶然にも最後は「死」に結びつくような作品ばかりで、就任披露としては暗めのプログラムであったけれども、演奏そのものは見事に充実しており、彼と読売日響の共同作業は輝かしいスタートを切った――と言って間違いなかろう。

 「コリオラン」では、第1主題をためらいがちなリズムで進めるなど、各所に細かいニュアンスを導入して、いわば思索的なコリオレイヌス像といったものを創り出したのは面白かった。読響も良い音を出すものだという印象である。
 マーラーでも同様、弦を中心に音色の良さが際立っていた。
 昨年横浜で演奏したラヴェルの作品での音の美しさには、読響がここまでやるかと驚かされるものがあったが、この分で行けば、それが復活するまでさほど時間を要さないだろう。

 後半の曲目、「ペレアスとメリザンド」はまさに圧巻と言うべき演奏で、特にミステリアスな暗い部分における音色の多彩さと雄弁さには、慄然とさせられるほどであった。
 以前この曲を、誰の指揮だったか忘れたがナマで聴いた際、おそろしく晦渋で無愛想な演奏のため辟易させられたことがあったが、それとはえらい違いだ。カンブルランは、シェーンベルクの作品からさえ、あたかもルーセルの音楽のような、フランス的な洗練さを引き出していたのである。
 テュッティのフォルティシモの個所では、金管群の響きに硬さと混濁感がなくはなかったが、それを除けば大いに満足できる演奏であった。
 
 聴衆と楽員の双方から贈られた熱烈な拍手は、カンブルランを喜ばせたであろう。聴衆に向かって「ベストを尽すことをお約束します」と彼は挨拶し、さらに大きな拍手を浴びた。次は5月1日の「春の祭典」である。

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