2020-05

4・22(木)広上淳一指揮東京フィルハーモニー交響楽団

  東京オペラシティコンサートホール 7時

 広上淳一が、すこぶる個性的な指揮を聴かせてくれた。
 モーツァルトの交響曲第32番K.318、ショパンのピアノ協奏曲第1番(ソロは金子三勇士=みゆじ)、シューマンの交響曲第3番「ライン」というプログラム。

 特に「ライン」では、所謂ロマン的な叙情感や壮麗さとは対極の、鋭いデュナーミクとアクセントとリズムによるごつごつした構築の音楽をつくり、剛直で毅然としたシューマン像といったものが描き出されていた。
 第4楽章終結での和音群に、スコアのイメージよりも更に強いアクセントが与えられていたことは、ここの音楽に一種のデモーニッシュなもの――それはシューマンが陥っていた精神的な危機とも関連する――を感じさせるだろう。
 しかもその暗さから転じて直ちにフィナーレに入る個所は、ただ無頓着に移行するのではなく、何かためらいがちに足取りが軽くなり、次第に明るさを増して行くという演奏でもあった。ここにもまた、当時のシューマンの屈折した心理状態が暗示されているように聞こえたのである。

 東京フィルも、第1楽章冒頭ではやや混濁した音色が感じられなくもなかったが、第2楽章以降は響きも快く、広上と一体となって良い演奏を創り上げた。久しぶりに手ごたえ充分の「ライン」を聴いたような気がする。

 同様にモーツァルトの交響曲でも、客席に向かって強烈に押し出して来るような演奏が繰り広げられていた。
 ショパンの協奏曲でもその傾向がなくはなかったが、しかし第2楽章では見事な耽美的な音楽が聴かれた。このあたり、広上のロマンティシズムの感覚を余すところなく示した演奏といえよう。

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