2020-05

4・21(水)マイケル・フランシス指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

   東京オペラシティコンサートホール 7時

 チェコのピルゼン国立歌劇場首席指揮者とプラハ国立歌劇場指揮者を兼任するイジー・シュトルンツの客演に興味を持っていたのだが、例の噴火騒ぎで来日不可能に。

 代わりに、ムターとの協演のために来ていた英国の若手指揮者マイケル・フランシスが急遽客演した。彼はロンドン響のコントラバス奏者として活動していた人だが、3年前にゲルギエフの代役として指揮したのをきっかけに頭角を現わし、このところ急激に活動の場を拡げ始めているとのことである。今回も、ムターが彼を引っ張って来たらしい。ライジング・スター指揮者に興味津々の私としては、聴かないわけには行かない。

 プログラムは、シュトルンツが指揮することになっていた「売られた花嫁」序曲と、チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」(ソロは有希マヌエラ・ヤンケ)、それに「新世界交響曲」が、そのまま引き継がれていた。
 「彼、こういう曲も振れるの?」と冷やかし気味にシティ・フィル事務局の齋藤美奈子さんに訊いたら、「こういう曲を振れない指揮者なんていないでしょう」と切り返され、なるほど、たしかに、と妙に納得した次第。

 さて本番となり、何かおとなしそうな表情で静かに登場したフランシスだったが、いざ序曲を指揮し始めたら、何とこれが猛烈にエネルギッシュで、ダイナミックな演奏だったのには驚いた。これほど威勢のいいシティ・フィルを、私は最近聴いたことがない。
 協奏曲でも同様で、たたきつけるようなフォルティシモで煽って行く。しかしトランペットのリズムに細かいアクセントを施したり、第2楽章ではきわめて美しい弦の最弱音を引き出したりするところなどはなかなか見事で、神経を行き届かせる指揮にも秀でているようだ。
 「新世界交響曲」も速めのテンポで、前述の特徴をすべて集約した、どちらかというとワイルドな演奏だったといえようか。

 総じて言えば、基本的にかなり荒っぽい演奏ではあったが、それがフランシスの個性なのか、あるいは近頃のシティ・フィルのクセなのかは、俄には断定しがたい。
 彼は今週土曜日に東京響を指揮してムターとコンチェルトをやり、ベートーヴェンの「7番」をも指揮することになっているから、それと併せて判断する方がいいだろう(ただし私はその日「あらかわバイロイト」に行くことになっているので、彼の指揮は聴けない)。

 しかしいずれにせよ、少しくらい荒っぽくても、この勢いのよさは若手らしくて良い。ちょっと面白い指揮者だなという印象を私は得ている。
 

コメント

私も聴きました。(席の近くで東条さんをお見かけしました)

個人的にはもうちょっとじっくりやって欲しかったですが、スポーツ的な快感は愉しめました。
さすがコントラバス奏者なだけあって、リハーサルでは低音部分にこだわりを持っていたようですが、
ドヴォルジャークでは和音や内声を意識したこだわりを随所に感じた演奏でした。

シティフィルは良い意味で指揮者によって音楽をがらり変えるオケだと思っています。矢崎とのフランスもの、阪とのシューマンや飯守とのR.シュトラウス、金との古典やウィルソンとのチャイコフスキーなどユースチケットで楽しませてもらっています。
お客さんは多くはないですが、いつも一生懸命演奏する姿勢、指揮者の意図を音にしようとする姿勢が見てとれて、好きです。



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