2020-05

4・19(月)アンネ=ゾフィー・ムター・ヴァイオリン・リサイタル

   サントリーホール 7時

 ランバート・オーキス(ピアノ)とのデュオで、ブラームスのソナタ3曲。
 昨年秋に録音したCDと同じく、「第2番」「第1番」「第3番」の順序で演奏した。

 最近の彼女の特徴たる大きなヴィブラート、時に官能的なほどのポルタメントを伴うレガート、そこに併せ持つ強靭なリズム感、輝かしい音色、空間的拡がりを持つフォルティシモと艶かしい囁きのようなピアニシモとの対比などは、CDで聴くよりも、ナマのコンサートでの方が、はるかに強烈に発揮される。
 また、3曲ともに冒頭はやっと聞き取れるような、囁くような弱音で開始されるが、これもCDでの演奏よりずっと強調されていて、きわめて印象的だ。聴衆が息をつめて聴き入る頃、彼女の音量は次第に増大し、オーキスのよく鳴るピアノをさえ圧して、フィナーレでは支配的な力で響きわたる(まるで講談の名人の語り口を聴くがごとくである)。

 とにかく、これほどブリリアントで、あでやかで、叙情的なカンタービレにあふれ、しかもメリハリ豊かな、あざといほど濃厚な表情のブラームスは、他に多くその例を見ないだろう。彼女の人魚のようなスタイルの衣装の視覚的な美しさと、演奏の音色の美しさとが、イメージの上で完璧に合致して、見事な感覚美のブラームスとなって滔々と流れる。

 アンコールでは、ブラームスのハンガリー舞曲の第2番、同第1番、子守歌、ハンガリー舞曲第7番、最後にマスネの「タイースの瞑想曲」。舞曲でのラプソディックで奔放な迫力もさることながら、「瞑想曲」での甘美な陶酔に満ちた演奏もまた、ムターならではのものだ。
 

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