2020-05

4・3(土)上岡敏之が日本フィルに初客演指揮

   サントリーホール 7時(ではなく2時でした)

 「上岡ぶし」が、さらにいっそうの個性化へ驀進中。
 これだけ思い切った音楽づくりのできる指揮者は、日本人では他に例を見ない。
 なまじ同じようなテを使ったら、オーケストラから爪弾きされるのがオチだ。
 上岡の場合には、ドイツを本拠にして修羅場を踏んでいる自信がこのような指揮を可能にさせるとも言えよう。
 一つの音符さえゆるがせにせず、新たな感覚でスコアを読み解き、演奏を構築する。彼が客演する日本のオーケストラは――プライドのあまりに高いN響を除いて――すべてそれを新鮮に受け止め、それぞれの緻密で個性的な演奏を聴衆に伝えているのである。

 日本フィルでも、今回ついにそれが実現した。
 演奏されたのは、メンデルスゾーンの交響曲「宗教改革」、ワーグナーの「パルジファル」第1幕前奏曲と「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲と愛の死」の3曲だったが、これがあの日本フィルか――と驚嘆させられるような音色が随所にあふれていたのだ。
 たとえば「トリスタン」の第1幕への前奏曲。精妙でしっとりした響きの弦楽器群がうねり、高まって行くあたりの見事さは、かつてわが国のオーケストラから聞かれたことがあったろうかと思わせるほどだったのである。
 ここをはじめ、全体に弦楽器群にはめざましい成果が聴かれていた。

 だがそれとは逆に、日本フィルにとっての大きな課題が浮彫りになったのは、やはり管楽器群にあるだろう。ピアニッシモで吹き始める際の危なっかしさ、また最弱音で遅いテンポや長い音を保たせる時の不安定さは、このオーケストラに緻密な音づくりの練習が如何に緊急不可欠かということを如実に示していたのである。

 そうした演奏の不安定さが随所にあったものの、「上岡ぶし」はいたる所で猛威を振るった。「宗教改革」冒頭の低弦と管楽器のコラールから早くもそれが現われる。其処での大きく「間」を採った音楽の緊張感は、「パルジファル」前奏曲の前半や、「トリスタン」前奏曲冒頭などでも遺憾なく発揮されて行った。
 しかし、主部のテンポは、予想されたほどには遅くない。演奏時間は「宗教改革」が31分、「パルジファル」が15分、「トリスタン」が20分。これは確かに長いことは事実だが、「想像を絶するほど」でもなかったであろう。

 またワーグナーでは最弱音が効果的だったが、「トリスタン」前奏曲最後でのチェロとコントラバスのピアニッシモは極端なほどの弱音で演奏されたため、RC席のやや上に座っていた筆者には、ほとんど聞こえなかった。
 いくら名演でも、聞こえなくては何にもならないじゃァないですか――と、楽屋でマエストロ上岡に絶賛のついでに申し上げたら、彼は「あれ、そう?」と苦笑い。他の人の話によると、1階席ではそれなりにちゃんと聞こえていたのだそうである。

コメント

私にとっては、大昔、尾高忠明指揮のBBCウェールズ・ナショナル管弦楽団の公演を聴いて以来の超絶美音感動体験でした。最弱音の件、1階席ではちゃんと聴こえてました。緊張感あふれる休止符と、確かにほとんど一体化してましたが。(※細かいことですが、土曜公演は19時ではなく14時開演でしたね。)

「日本フィルにとっての大きな課題が浮彫りになったのは、やはり管楽器群にあるだろう。ピアニッシモで吹き始める際の危なっかしさ、また最弱音で遅いテンポや長い音を保たせる時の不安定さは、このオーケストラに緻密な音づくりの練習が如何に緊急不可欠かということを如実に示していたのである」

 この問題は、日本フィルに限った問題でしょうか?
 本日、本コンサートと同時刻に行われた、東フィル「復活」を聴いてきましたが、やはりピアニッシモで吹き始めるホルンやトランペットの不安定さ、不揃い加減には興ざめさせらけます。2日のN響「パルジファル」も同様でした。
 日本のオーケストラの管楽器の皆さんには、さらに頑張っていただきたいと思うところです。

日フィル聴きました。

こんにちは。久々に投稿させていただきます。
私は金曜定期会員なので、金曜に聴きました。日フィルは聴き始めて今年で17年目になってしまいましたが(笑)、上岡さんのポリシーのはっきりした解釈に感嘆しきりな反面、初顔合わせということもあり、オケ側がまだどこか恐る恐る演奏してるように感じました。特に前半の「宗教改革」。第1楽章を聴きながら、「うーん、オケが動かない、音がうねらない・・・」とちょっぴりフラストレーションを抱えながら聴いていました。ワーグナーになって幾分ほぐれて来た気がしました。ですが、これからが楽しみでもあります。
演奏後に事務局とも話したんですが、「オケにとってはいい出会いになるといいです!」と話してくれました。

ビエロフラーヴェクが定期で振った時に、先生が記されたように、指揮者によって音が変わる瞬間は、一時期よりも顕著にはなってきたように感じます(ラザレフの際も、)が、それがひとつの塊となって、気持ちよく客席まで届いてこないなというのが、正直なところです。
でも、非常に楽しめたコンサートでした。

誠に生意気ながら、音楽専門ブログも立ち上げました。
冷やかし程度で結構なので、覗いていただければ幸いです。
http://blog.livedoor.jp/ongakuzanmai/

4/2のを聴きました

4/2のを聴きました。生意気をご容赦いただき、素人の感想です。
管楽器の、特に弱音のアインザッツの不安定さは、かなり目立ちました。悲しいかな現在の日フィルの実情と思います。
ビヴゥラートのかけ方も不統一で、聞き苦しいところもありましたし。
また、意識的に低音楽器を先に発音させていたようにも感じました。

弦楽器の響きというか、中低音をしっかりとさせたバランス作りは好感がもてました。

特に管楽器ですが、もう一息でハモるのに、と思わせることが多々ありましたが、今後に期待したいと思います。エキストラの方もいらっしゃったし、難しいですね。

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