2017-10

3・12(金)ヴォルフ=ディーター・ハウシルト指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

   すみだトリフォニーホール

 ブルックナーの「交響曲第9番」を核にしたプログラムだが、前半に演奏されたのは、ゴットフリート・フォン・アイネムが1971年に書いた「ブルックナー・ディアローク」という15分ほどの作品(日本初演)。これが、私には実に面白かった。

 この「ブルックナー・ディアローク」なる曲は、ブルックナー特有の作曲技法や、いかにもブルックナー的な音響を巧みに取り入れがら、しかもブルックナーとは微妙に異なる音楽を創って行く、といった作品なのである。
 曲想としては大体「第4交響曲」の頃のブルックナーのそれに近いが、しかしその中に「第9番」のフィナーレの核を成す(はずだった)と言われるあのコラール主題が早くから姿を表わす。現代音楽っぽい音の響きの中に朗々と割って入って来るこのブルックナーのコラールは、言いようのないほど魅力的に聞こえる。

 こうなるとこのアイネムの曲は、だれやらが「第9交響曲の完成版」として書いたような、まがい物丸出しのフィナーレより、よほどブルックナーにふさわしく聞こえるような気がするのだ。

 後半はご本尊、「交響曲第9番」が、もちろん3楽章版で演奏された。
 ここでのハウシルトと新日本フィルの演奏は――月並みな表現だが――実に重厚壮大という言い方がぴったり来るような、堂々たるものであった。
 金管群が全く刺激的にならず、弦楽器群と均衡を保った陰翳の濃い響きで沸き上がって来る。そのような滋味あるブルックナーは、今日ではなかなか聴けないたぐいのものだろう。

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