2008-05

10・19(金)ミハイル・プレトニョフ指揮東京フィルハーモニー交響楽団

  サントリーホール

 現代ロシア屈指のピアニストであるプレトニョフがロシア・ナショナル管弦楽団を創設し、指揮者として華々しく脚光を浴びた頃、モスクワの音楽ファンたちは、「何をしようとかまわないけれど、ピアノだけは止めないでいてくれ」と叫んだそうな。
 だが、その願いも虚しく、プレトニョフは最近ついに(当面は)指揮者一筋で行く、と宣言してしまった。最近リリースされたベートーヴェンの交響曲全集CD(グラモフォン)の、特に「英雄」と「田園」などでも、彼は自らの超ユニークな解釈をやりたい放題押し出している。あの味をいったん覚えてしまったら、もう指揮者はやめられない、と思うのも当然かもしれない。

 今日のメイン・プロ、チャイコフスキーの「第4交響曲」では、彼はさほど変わったことはやっていない。ただ、楽章間の休みを含めても総演奏時間が40分を割るという超快速テンポで、第1楽章など激情の嵐という趣になっているところが彼らしいというべきか。終楽章のコーダなど、テンポを煽ること、煽ること。
 オーケストラはなんとか追い付いてはいたが、音色はかなり粗く汚いところもあった。だが、終楽章でのこのようなテンポは、かつてムラヴィンスキーやスヴェトラーノフも採ったことがあるものだし、東京フィルも「日本で最も古い伝統を誇るオーケストラ」と豪語する以上、このくらいは平然とこなしてもらわないと困る。
 とはいえ、新国のオケ・ピットでは全然鳴らないこの東京フィルも、ステージでは本来の調子を出して、よく鳴る。前半はプロコフィエフの「第2ピアノ協奏曲」だったが、ここでもオケは豪快に轟きわたった。

 協奏曲でのソロは、残念ながらプレトニョフではなく、アレクサンドル・メルニコフ。しかし、この若者がすばらしい。明るい多彩な音色で伸びやかに爽快に弾きながら、がっちりとした構築を生み出している。

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