2020-05

12・15(火)オスモ・ヴァンスカ指揮 読売日本交響楽団定期

   サントリーホール

 「ヴァンスカのベートーヴェン交響曲シリーズ」の第5回にあたるが、それとは別に、前半で日本初演されたカレヴィ・アホの「交響曲第7番」が、なかなかの人気を集めた。

 オーケストラの編成はすこぶる大きく、演奏時間も約40分にわたる。「虫の交響曲」という副題があるのは、アホ自身のオペラ「虫の生活」をもとに編まれた交響曲であるためという。
 6楽章からなり、各々は、蜂、蝶、フンコロガシ、バッタ、蟻、蜻蛉に関連づけられている。それらの虫たちを音で描写しているわけではないが、それを想像させる音楽も少なからず聞かれるのは確かだ。「蜂」は極めて刺激的で激烈な音楽だし、「蝶」はジャズのフォックストロット、「バッタ」はスケルツォ風、「蟻」は行進曲(労働と戦争)といった具合であり、「蜻蛉」が寂しく空しく終結するのも面白い発想である。

 しかし、描写しているにせよ、そうでないにせよ、オーケストラの各楽器には機知に富んだ使用法が随所に聴かれる。そのため極めて多種多様な、色彩的な響きが全曲にわたり生み出されることになる。かりに標題がなかったとしても、それだけでこの華麗な奇抜な、万華鏡のような交響曲は、聴衆を楽しませるだろう。

 一方、ベートーヴェンの「交響曲第7番」の方は、ヴァンスカらしく鋭角的なリズムでたたみかける情熱的な演奏になった。
 そこでは、管楽器群のハーモニーをして弦楽器群の旋律的な動きを覆わせしめる、といったユニークな響きのバランスがしばしば採られる。聴き慣れたフシが浮かび上がって来ない、という演奏は、聴き手にスリルを与えるだろう。

 しかもヴァンスカは、第1楽章コーダでのヴィオラ・チェロ・コントラバスのオスティナートに2小節単位の大きな漸強・漸弱を施したり、第2楽章のリズム主題では2小節ごとに最初の4分音符をやや強い音のソステヌートで演奏させたりという具合に、極めて精妙な設計を施していたのであった。
 読売日響も、その要求に良く応えて熱演した。時に合奏の乱れを生じさせたのは惜しいが、全体から見れば小さな瑕疵に過ぎない。
 

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