2020-04

11・23(月)ブロムシュテット指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ブルックナー「8番」

  サントリーホール

 ブロムシュテットの人気は凄い。ただ私としては以前から――この指揮者の演奏を聴いて、どういうわけか、あまり感動したことがないのだ。今日のブルックナーの「交響曲第8番」も、立派な演奏であったことは認めるけれど、何か距離を置いて聴いてしまうのである。音楽をあっさりと、ひたすら押し流して行くだけの指揮に不満があるのか? 
 しかし第3楽章は、静寂の中にひれ伏して祈るような敬虔さに満たされていて、これは圧巻であった。

 チェコ・フィルの弦の美しさ、壮麗さも健在だったのが嬉しい。弦は見たところ14・14・12・12・8の編成だったように思うが、中低音域に重心を置いた厚みのある柔らかい響きが見事だった。

コメント

東条さん、こんばんは。評論いつも拝見しています。

演奏の受け取り方の違いに驚いています。私は23日の演奏は極めて意志的で、むしろ「音楽をあっさりと、ひたすら押し流して行くだけの指揮」とは対極のもののように感じました。往年のヨッフムやマタチッチの姿を思い出します。

自然体だった朝比奈隆先生とは正反対の名演奏だったと思います。

悲しい評論

 いきなり失礼します。東条さんの評論には,申し訳ありませんが,一度も共感したことがありません。まあそれは音楽への感じ方の違いですから,仕方がないでしょう。
 しかし,今回のブロムシュテット/チェコ・フィルのブルックナー/第8の演奏に対する,先入観に満ちた「真摯に演奏を聴いていない」,それこそ「お仕事」として「流した」,冷たい評論には心底がっかりしました。一般の,本当に音楽を愛する愛好家にブロムシュテット・ファンが多く,評論家の中には一瞥もくれないような人が多いのは何故なのでしょうね。ちなみに,この演奏についての私の拙文を書かせていただきます。
 
 ブロムシュテット/チェコ・フィルの「ブル8」は,少なくとも生演奏で聞いた限り,過去の誰もがなしえなかった圧倒的名演だと思います。(曲の良さが何の誇張もなく自然に表現されていた,という点では,チェリビダッケ/ミュンヘンPOの来日公演以上だったと思います。)
 ブロムシュテットは,確かにチェコ・フィルとの顔合わせ機会は少ないようで,20日の「田園」・「ブラ1」は,彼の癖である,「先振り」の指揮もあって,特に弦のアンサンブルのズレが随所に聞かれ,厳格なトレーニングで知られるブロムシュテットとしても不本意な出来だったのではないかと思われました。(全体にブレスが短く,前のめり気味だったのはそのせいでしょう。)
 しかし,昨晩の「ブル8」は,全く別のオケを聴くようであり,本当に稀にしか聴けない,歴史的大名演になっていたと思います。私は2階LBブロックで聴いていましたが,ブロムシュテットの,大胆かつ細心の指揮振りが良く見え(強弱,テンポ,表情,アーティキュレーション等,実に見事な振り分けで-しかも,全て暗譜ですから!-,特に第3楽章は圧倒的でした。),私の席からは,アンサンブルも非常に明瞭に整理されており,驚異的な精度に引き上げられていたと聞こえました。そもそもこれまでチェコ・フィルは,アンサンブルにはアバウトな指揮者が振ることが多く,今回の「ブル8」のように精度高く,しかも自発性にも富んだ演奏を聞かせたことはあったでしょうか?チェコ・フィルの有機的合奏体としての能力をここまで引き出せたのも,ひとえにブロムシュテットの,偉大な音楽家としての能力とカペルマイスター的な資質とのなせる業でしょう。
 そして当夜の演奏で更に特筆したいのは,時としてヴァントの演奏に感じる,「重すぎる宗教性」や「息苦しさ」がなく,練習は厳しいけれど,本番では演奏者の自然な感情の発露を大切にし,「ムジツィーレン」の喜びを開放する,ブロムシュテットならではの,正に円熟の極みにある演奏だったのではないでしょうか。
 なお,ブロムシュテットの名誉のために申し添えますが,シャイーとのコンピで評判の高いゲヴァントハウスOのあの音は,80%はブロムシュテットがカペルマイスターの時代に創り上げられたものです。(シャイーは,それに,現代的・ラテン的な色彩をプラスした,と私は評価しています。)コンビとしての来日は3回でしたが,回を重ねるに従ってゲヴァントハウスOの音から鈍重さが消え,ピラミッド・バランスで渋めのドイツ的な良さを遺しつつ,極めて透明度の高い音と,切れのいいアンサンブルに変貌していったのが印象的でした。第2回目の来日時の,シベリウス/第7交響曲と「ブル5」の組合せも見事でしたし(シベリウスとブルックナーのそれぞれの様式で,正反対の性格のこの2曲の最高の演奏を聞かせられる指揮者は何人いるでしょう!?),最後の来日の「ブル7」は,正に壮麗としか言いようのない,これも演奏史に残る名演でした。でも,先入観の強い評論家からは大した評価が得られず(聴衆の評価は高いものでした),とても悔しい思いをしたものです。

 今回の「ブル8」の超名演で,ブロムシュテットの真価が保守的なクラシック業界でもきちんと認められることを望みます。(でも,今回の演奏はTV収録されていなかったですし,やっぱり評論家受けはしないのでしょうね。)

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山響の後はチェコフィルと、私はまるで東条さんと同じ様な行動をしていたのですね。
前回H17年でしたか、サントリーでチェコフィルを聴いたときはコバケンでした。その熱さに比べればブロムシュテットは情熱を理性で包んだ抑制が感じられるものの、決して淡々とした、またはあっさり流したような演奏ではなかったと思います。その全身からは音楽をする喜びが溢れ出ていました。なにより、チェコフィルの楽団員がブロムシュテットの年齢を全く感じさせない情熱と迫力には「勝てない!」と言っていました。

東条さん

こんばんは。
たびたび失礼します。
「音楽の友」の対談を読みました。
正直に申し上げますと、対談の中のご立派な発言(批評精神)と11.23のブログの落差にがっかりしています。旨みを紹介するどころか、あなたは塩加減にさえ触れていないのではありませんか?

なにもブロムシュテット絶賛の記事を求めているわけではありません。「評論家」は自分の思ったように、「評論」(「感想」ではない)を書けばいいのです。

ただ、最後にお願いがあります。当夜の聴衆の熱狂は伝えてください。芸術は感動のためにあります。聴衆が全てです。私はサントリーホールに開館以来数え切れぬほど足を運んでいますが、あのような万雷の拍手は滅多にありません。

音楽を創るのは、指揮者とオーケストラ、そして不特定多数の(この不景気に「高いチケット代を払って」ホールに足を運んでいる!)聴衆です。評論家はその手伝いをするだけです。


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