2020-05

11・12(木)トゥガン・ソヒエフ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団(続)

   東京オペラシティコンサートホール

 今回の来日公演最終日は、チャイコフスキー・プログラム。

 所用のため、2曲目の「ヴァイオリン協奏曲」のフィナーレをやっている頃、やっとホールに到着。ロビーで待っていたら、信じられないような速いテンポで演奏が盛り上がっているのが聞こえてきた。
 ソロは、諏訪内晶子だ。一昨日のブラームスの協奏曲では、実に堂々たる風格の、毅然とした意志の強さを示すような演奏を聴かせていたのに感心させられたものだが、この数年、彼女の音楽が著しく充実して来ていることは紛れもない事実である。今日のチャイコフスキーの協奏曲をホールの中で聴いた何人かの知人も、彼女が以前の優等生的な演奏から完全に脱皮しているという感想を口にしていた。
 それにしても、あんな凄いテンポで弾くというのは驚異的である。オケもよくやるものだ。

 プログラムの後半は、チャイコフスキーの「第5交響曲」。
 2日前にサントリーホールで聴いた時の印象とはやや異なり、今夜の演奏は、音色の彫琢よりもエネルギーを優先したワイルドなアプローチという感がある。
 もちろんこれは、作品の性格にもよるだろう。第1楽章と第2楽章では、フレーズの一つ一つに表情の精妙さがあり、デュナーミクの変化にも細かい神経を行き届かせてさすがと思わせたが、しかし第4楽章は、ただもう凄まじい勢いの、エネルギッシュな、スリリングな演奏となった。まあ、この楽章では、ロシア人指揮者はしばしばこういう突進型の演奏をするものだ。とにかく、煽ること、煽ること。
 それでも音楽が崩れないところが、いかにもこのコンビらしい。稀にティンパニなど、アララというところもあったが、笑って聞き流せばよろしかろう。

 ただ、アンコールでの――2曲目のエルガーの「愛の挨拶」はいいとしても、その他の曲――チャイコフスキーの「トレパック」、ビゼーの「カルメン」前奏曲、ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲第1番」はあまりに威勢のよすぎる演奏で、「ご愛嬌」でなければ、これはちと「やり過ぎ」だ。オーケストラはそれなりに巧いことは事実だが。
 ドヴォルジャークなど最初のうち、あまりに金管と大太鼓が強すぎて、たしかにこの曲のはずなのに主題のフシが全然聞こえて来ない――という、一風変わったバランスになっていたのに驚いた。「やり過ぎ」でなければ、シャレか? しかしこういうノリが、若い指揮者の面白いところではある。

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諏訪内さん、失礼ながらソリストっぽくなってきたように感じました。ソヒエフさん、チャイ5は、達者ぞろいのオケを上手く操っていたように思いました。ただ、オペラシティではここまで鳴らさなくても充分ではないかと思いましたが。

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