2020-04

11・11(水)マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団

  サントリーホール

 近年目立って増えて来たのは、オーケストラ・コンサートにおいて、ゲスト・ソリストが延々とアンコールを――もしくは長い曲のアンコールをやることだ。
 1曲ならまだしも、2曲も(昨年、3曲やったソリストがいた)やるのはいかがなものか。いくらその演奏が素晴らしいものであっても、その日の主役はオーケストラなのであり、彼(又は彼女)のソロ・リサイタルではないのだから、ほどほどにするべきであろう。
 今日のヨーヨー・マもその例だ。彼のアンコール・パートが占めた時間は、拍手も含め、実に22分に及んだ。その一方、オーケストラのプログラムにおいては、当初発表されていた「ローエングリン」第1幕への前奏曲の演奏がカットされた。本末転倒とはこのことである。

 まあ、それはそれとしましょう。
 ところで、このわずか10日の間に東京で演奏会を行なった外国のオーケストラは、何と6団体。フランス3、アメリカ1、ドイツ2、という比率で、大変な来日ラッシュだ。そのいずれもが大変すばらしい演奏を聴かせてくれたのだから、これまた稀有なことに違いない。
 その中でも今日のヤンソンスとバイエルン放送響は、まさに王者の風格というか、熟成された音楽家の味というか、さすがの底力を示した。このコンビもまた、今や最良の時期に入っていると言って言い過ぎではない。

 プログラムの最初は、ヨーヨー・マがソリストとなったドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」。マの演奏は、昔より柔らかくなり、温かいぬくもりの表情をさらに増した。
 ヤンソンスとバイエルン放送響の方も、しなやかな、しかも引き締まった響きが美しい。第3楽章で、ソロの合間に戻って来るオーケストラの総奏主題があまりにスケールが大きく立派なので、この時代の協奏曲もやはりリトルネロの形式の精神をどこかで受け継いでいるのだな、なんていうことをふと考えてしまう。
 そして、そのあとにマのソロ・アンコール。バッハが2曲続く。前述の問題を別として、その演奏の極上に美しかったことは、紛れもない事実なのである。

 プログラム後半はワーグナーで、「タンホイザー」序曲、「神々の黄昏」から「ジークフリートのラインへの旅」と「ジークフリートの葬送行進曲」、最後に「ワルキューレの騎行」。
 CDで聴くよりもさらに響きが豊麗である。一種丸みのある独特の中音域の音色が、演奏全体に不思議な柔らかさと温かさを与えている。魔性や翳りのないワーグナーではあるが、これがヤンソンスの個性だとも言えよう。
 だが、プログラムの前半でヨーヨー・マに贈られたような熱狂的な拍手が、オーケストラにとってのメイン・プロである後半の曲目ではほとんど出て来ないのは意外だった。ヤンソンスとオーケストラには気の毒な気がする。ワーグナー・ファンは来ていなかったのだろうか? 

 アンコールに「伝ハイドン=ホフシュテッターのセレナード」と、「ローエングリン」第3幕への前奏曲(!)。こういう曲目の時には拍手が盛んになる。9時25分終演。

コメント

私の感想は

マのチェロに比べ オケは水準は保ってはいましたがあちこちできしんでいましたしアマチュアのようなミスもありました。 後半 あれほどつまらないタンホイザー序曲もめずらしい 夜明けとラインの旅は良かったですが 葬送行進曲があざとい溜めで興醒め 拍手は実に正当なものと感じました タンホイザーやめて マにもっとアンコールやってほしかったです。

オケはクラリネットが秀逸でした。

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