2020-04

11・7(土)NISSAY OPERA 「ヘンゼルとグレーテル」

  日生劇場 (マチネー)

 今年の日生劇場の「NISSAY OPERA」(NISSEIではない)は、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」。演出がクリスティアン・シューラー、指揮が下野竜也。字幕付の日本語上演。

 「青少年のための日生劇場オペラ教室」というシリーズの一環のためもあるのだろうが、演出はきわめてオーソドックスで、イェンス・キリアンの簡素だが丁寧に作ってある舞台装置ともども――ただしその大道具を扱う演技の手順はあまりいいとは言えないが――可愛らしく、ほのぼのとした舞台になっている。
 ここにはスーパーの菓子売り場などは出て来ないし、魔女もグロテスクな大女などではないし、解放される子供たちも甘味を摂り過ぎた異常肥満体などではない。そういう読み替えのない、いわば原点回帰とでもいうべき演出だ。

 とはいえ、この舞台が平凡な構図だったと言っているのではない。冒頭場面でテーブルや椅子、冷蔵庫を巨大に作って、ヘンゼル(田村由貴絵)とグレーテル(臼木あい)を子供に見せたり、あるいはお菓子の家の場面で幕を巧く揺らせたりして、観客に視覚的錯覚を起こさせるような仕掛けは――それら自体は独創的なものではないが――観客を愉しませるだろう。

 歌手陣は他に渡辺敦子(ゲルトルート)、青戸知(ペーター)、諸井サチヨ(露の精)、虎谷亜希子(眠りの精)、蔵野蘭子(魔女)。なお、魔女の分身のような操り人形を演じていた黙役の山中美奈は、八代亜紀みたいな白塗りメイクだが、演技が実に愛らしくて色気があって、魅力的だった。

 下野竜也指揮の読売日響は、整然たる演奏。欲を言えばもっとメルヘン的なふくよかさが欲しいところだが、この劇場のピットの音響特性では、なまじフワフワした音で演奏すると、バラバラな響きになってしまう可能性もあろう。
 天使たちのパントマイム場面での音楽の昂揚や、お菓子の家が爆発した瞬間の金管の咆哮など、なかなか良かった。

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