2020-04

11・3(火)大野和士指揮 フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団
マスネ 「ウェルテル」(演奏会形式)

  オーチャードホール (マチネー)

 一昨年12月、ブリュッセルのモネ劇場での上演で彼の指揮する「ウェルテル」を聴いた時には、かなり鋭角的で壮絶な、ウェルテルの破滅に向かって音楽が滔々と流れて行くような演奏に感じられたものであった。
 が、今日は、もう少し叙情的で柔らかい音楽になっていた。これはもちろん、オーケストラの違いにもよるし、しかも今回はよく響くコンサートホールでの演奏であったせいもあろう。

 しかし、非常に劇的で、起伏の大きな演奏であることには変わりない。いわゆる甘美なマスネではなく、悲劇の音楽の作曲家としても見事な手腕を示すマスネ――という作曲家像を浮彫りにするような演奏であった。
 こういう点一つとっても、大野和士のオペラにおける感性というのは、卓越したものだと思う。オペラ指揮者としての大野がたゆみなく前進を続けていることは、どこから見ても疑いない。彼のような優れたオペラ指揮者を擁していることを、われわれ日本人は誇りに思うべきである。

 歌手陣は、ウェルテルにジェイムズ・ヴァレンティ、シャルロットにケイト・オールドリッチ、アルベールにリオネル・ロート、ソフィーにアンヌ=カトリーヌ・ジレ、大法官にアラン・ヴェルヌ、シュミットにバンジャマン・ベルネーム、ヨハンにナビル・スリマン。「ノエル」の児童合唱は東京少年少女合唱隊。いずれも手堅いしっかりした歌唱で、聴き応えは完璧であった。
 欲を言えば、ラストシーンでの児童合唱による舞台裏からの「ノエル」がもう少し明確に聞こえれば、最後の悲劇性がもっと浮彫りにされたのではなかろうか。

 演奏会形式で、歌手はオーケストラの前で歌うが、必要最小限の演技が加えられているので、ドラマの進行は充分に解る。音楽そのものの魅力を隅から隅まで聴こうとするのであれば、あざとい演出などの無い、このような演奏スタイルが一番いい。

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