2020-04

9・18(金)クリスティアン・アルミンク指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
「エグモント」付随音楽(全曲)

   すみだトリフォニーホール

 メンデルスゾーンの「海の静けさと幸福な航海」は、静けさはともかく、さほど幸福でもないような演奏ではあったが、まあ、生誕200年記念のこの作曲家の作品から、ちょっと捻った選曲をしてくれたことは結構であった。

 2曲目のR・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」の方は、明晰な音の交錯の、しかも緊迫感を失わない演奏となり、聴き応え充分。(予想を覆して?)鮮やかな演奏だった。黄昏の薄明か告別の哀感といったような雰囲気はあまりなく、むしろ若々しい音楽のイメージになっていたけれども、作品の骨格に光を当てるこのような演奏は、一つの意義を持つだろう。

 休憩後は「エグモント」のための付随音楽。引き締まって要を得た演奏だ。下手にやればひどく散漫になってしまうこの曲集を、隅々まで神経を行き届かせて、まとめてくれた。
 感心したのは、たとえば「太鼓は響く」での、オーケストラの鳴らし方。クレッシェンドの巧みさ。クレールヒェンが、それまでの昂揚した気持からふっと力を抜いて、「男に生れていたら、どんなに幸せだったろう」と歌う直前のオーケストラの下降音型を、ドルチェ気味に柔らかく響かせるあたり。
 本当にこのアルミンクは、オペラ的感覚に優れた人だ。

 ソプラノ・ソロは、チューリヒ歌劇場に籍を置くサンドラ・トラットニックという人。少し可憐だが、歌唱は清純ではっきりしていて、好感を与える。

 ナレーターは広瀬彰勇で、ドラマティックなモノローグ形式。台本は誰の手によるものだろうか、やや意味の解り難いところがある。この種のナレーションは、もう少し簡易明快な表現にした方がいいのはないか。特に残響の多いホールでPAを使うと、反響して言葉が不明瞭になることがあり、聴く方が疲れてしまうから尚更だ。
 前半の2曲でも、曲前にナレーションが入った。全プログラムの統一感を出そうという狙いだろうが、それほど効果的だったとも思えぬ。

 大詰めのメロドラマ(エグモントの愛国のモノローグ)は、小太鼓の行進曲リズムに乗って大芝居的にやるのかと内心期待していたのだが、ここは少々肩透かし。
 まあ、日本語訳詞では、ちょっと難しいだろうとは思う。

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