2020-04

9・6(日)名古屋二期会 ブリテン:オペラ「真夏の夜の夢」

   愛知県芸術劇場大ホール (マチネー)

 「愛知県芸術劇場」は、品川から新幹線に乗って名古屋で地下鉄に乗り換え、二つ目の栄駅で降りれば、目の前にある。正味1時間50分とはかからない。開演は午後2時。

 このオペラは昨年、大阪音大のカレッジオペラハウスで観たばかりだが、今日の舞台もそれとほぼ同じだった。中村敬一の演出、増田寿子の舞台美術だから、あの同じプロダクションを持って来たのだろう。
 中央に小さい回り舞台を設置し、場面の転換をはじめ、妖精の世界と人間の世界との対比、時間の経過などを象徴させる。この装置は、それなりによく纏まっている。制作費を軽減するためにも、良くできた舞台装置を各地のオペラ団体が使い回しをするのは適切なことだと思う。

 ただし、前回も感じたことだが、演技が常に類型的で、面白くない。
 原作は周知の通り、シェクスピアの戯曲。ウィットと人情の機微に富んだドラマだからこそ、ただ客席を向いて歌うのではなく――あるいは両手を拡げたり、右手を相手に差し延べたりするお定まりの身振りだけで歌うのではなく、もっと演劇的な、芝居としての精妙な演技を導入してもらいたかった。
 演じている対手を見ずに、客席を見て歌う――こういう舞台を眺めていると、日本でドラマトゥルギーの概念が確立するまでには、まだまだ道は遠いなという感を抑えきれぬ。

 歌手陣は名古屋二期会を中心に、名古屋在住の声楽家たちが参加したものという。公演は2回で、大部分がダブルキャストだ。
 だが、ダブルキャストというシステムも良し悪しで、それぞれが1回しか出演しないとなれば、演技や歌唱の表現を経験により研究し、次回にはより良い方法を編み出そうという試みも出来ないことになる。
 世界の一流歌手たちでさえ、こう言っているのである――「どんな公演も、初日は、ほぼ手探り状態です。初日が開いてホッとし、本当に調子が出て来るのは2日目以降」。
 まして、その役に経験のない歌手たちにおいてをや。
 ブリテンのこのオペラのような珍しいレパートリーを1回だけ歌って、それで優れた水準の上演になるわけがないのだ。最悪の場合それは、歌手の顔見世会か温習会に留まるということになってしまう。

 今回は字幕付き原語(英語)上演だったが、正直のところ、英語らしきものが聞こえた瞬間はごく僅かであった。これは必ずしも私の語学力のせいだけでもなかろう。特に中心的存在となるはずのオベロンとタイタニアの2人は、言っちゃ何だが、終始何語で歌っているのか見当もつかないほどだった。

 指揮は阪哲朗、演奏は名古屋二期会オペラ管弦楽団。楽員の腕はしっかりしていると思われるが、音楽の流れに生き生きしたものが感じられない。阪の指揮には期待が大きかっただけに残念であった。さっきの英語発音の問題にしても、言葉のリズムや抑揚をどれほど忠実に再現するかが歌の――オペラの音楽の生殺与奪の鍵を握るのだから、やはりそれも最終的には指揮者の責任になるだろう。
 休憩2回(各20分)を含み、終演は5時20分頃。

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