2019-08

8・9(日)広上淳一指揮 京都市交響楽団 ロシア・プログラム

  京都コンサートホール

 先日、京都で大野和士が客演指揮した定期を聴きに行ったばかりだが、京都の「古都百話」さんから「ぜひシェフの広上のホームゲームを聴くべし」とのコメントを頂戴したこともあって、それではと再度遠征した次第。
 広上=京響はつい最近、東京公演でも聴いたが、このホールで聴くのはこれが初めて。今回も聴き応え充分だった。聴いた席は17列ほぼ中央の位置。

 ロシア・プロ。チャイコフスキーの「スラヴ行進曲」が、予想外にすっきりした軽い響きで始められた。抑制気味の音楽が次第に轟然と盛り上がって行くあたり、広上の設計もなかなか巧いものだと思う。

 プロコフィエフの「ヴァイオリン協奏曲第2番」でソロを弾いたのは、19歳の黒川侑。彼のコンチェルトに接するのはこれが3度目になるが、聴くたびに成長しているのが感じられてうれしい。音色の美しさと、しなやかに歌い上げる情緒感は出色のものだ。芯の強い逞しさや演奏の陰翳は、まだこれからだろう。表面的な美しさや技術でなく、精神の奥底から沸き上がって来る音楽を、ヨーロッパでよく会得して来て欲しいもの。

 後半の2曲は、まさに広上=京響の本領発揮――ではなかろうか。
 ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」では、頂点へ向けてたたみかける勢いが凄まじい。
 ソロを弾く河村尚子も、最初の和音の一撃から黒川少年とはケタが違うというか、場数を踏んだプロの演奏というイメージを感じさせる。本当にこの人は「大型新人」と呼ばれるにふさわしい。ピアノの音色が妙に乾いて薄手に聞こえたが、これはホールのアコースティックのせいか、聴いた席の位置のせいか、でなければ楽器のせいか?
 いずれにせよ、彼女の音色は、もう少し厚みがあるはずである。しかしその力感あるソロあればこそ、オーケストラもあれだけ豪壮に鳴りわたることが出来たのだろう。

 プログラムの最後は、チャイコフスキーの「イタリア奇想曲」。冒頭のトランペットと、それに続くホルンがいい音だ。あれだけ色気のある音色のラッパは、日本のオケの中でも稀ではなかろうか。演奏全体は非常にシンフォニックで、それゆえ少し重ったるいが、弦のトレモロが緊張感を高めて行く呼吸などはすばらしい。

 アンコールは、何故か大河ドラマ「天地人」のテーマ。広上が何事か延々と説明していたが、マイクなしの喋りだったため、何だかよく解らず。この曲、ティンパニのリズムをもっとスタッカートでパンチを強くして演奏しないと、陣太鼓的な迫力が出ない。
      

コメント

八月のオフシーズンにも定期を敢行する京響ではありますが、遠路お越しいただき、あらためてありがとうございました。無理なお願いをしただけのことはあるマチネーだったのではないかと。

ところで翌年三月の東京公演こそは、この二年間の決算プロ。暑い今から言うのも申し訳ありませんが、どうぞこちらもご見聞のお願いまで。

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