2019-08

8・4(火)バーンスタイン:「ウェストサイド・ストーリー」

   オーチャードホール (マチネー)

 初演(1957年)50年を記念して制作され、2007年にウィーンでプレミエ、今年(2009年)3月からブロードウェイのパレス劇場で上演され始めたプロダクションの由。
 これは、オリジナルの脚本家アーサー・ロレンツ(今年91歳)が演出、振付師のジョーイ・マクニーリーが舞台演出と振付を担当したもので、しかもオリジナル演出・振付のジェローム・ロビンスのコンセプトにもかなり忠実であるらしい――「らしい」と言ったのは、このジャンルのプログラムの解説の常で、詳しくない者にとってはどうもよく解らない書き方が多いからである。

 音楽監督と指揮は、この曲を「すでに2千回以上も指揮しているというドナルド・チャン。オーケストラは大部分が日本人奏者で編成されているが、リズム感の明快なこの演奏は、悪くない。

 トニーとマリアは――今日はダブルキャストのうちのBキャストにあたるのか、トニー役のスコット・サスマンは発声に無理と野暮ったさが著しく、演技も地味で硬く、舞台ではほとんど目立たない。マリア役のケンドール・ケリーも声はともかく、演技には素人っぽさが残る。
 やはりシングルで出ているベルナルド役のエマニュエル・デ・ヘスースと、アニタ役のオネイカ・フィリップスが、これはもう儲け役の強みもあって、存在感も強い(しかしこういった出演者たちを見ると、あのジョージ・チャキリスが如何に素破抜けたキャラクターであったかということを、改めて思わざるを得ない)。

 スピーディなダンスとセリフと演技、スクリーンに映写されるマンハッタンの光景を背景に大道具(骨組みの建物)を移動させつつ迅速に転換される舞台など、さすがの手際よさだ。
 ただ、出演者たちの大熱演にもかかわらず、どこかにまだ隙間が多く、作り物めいて自然さに不足する舞台という印象を拭いきれないのは、やはり臨時編成のプロダクションのせいなのだろうか? このキャストの詳細についてはよく解らないけれども。

 だがこんな不満があったとしても、もしPAの音が美しければ、私も充分満足したに違いない。とにかく、何というPAの音色の悪さ、無神経な音のバランスであろう。最初の頃は音色もバランスも悪くないと思われたが、第1幕の途中から突然酷い音になってしまった。こういう音には、とても耐え切れない。
 こう見えても私だって、ブロードウェイの劇場でミュージカルを観たことは何回かある。あそこでは声もオーケストラも、もっと柔らかい、大きすぎない、自然な音だった。日本でも札幌のPMFの野外演奏会などでは、あのウィーン・フィルのシュミードルも感心したほど、実に自然な、きれいな音が聴けるのである(今年はどうだったか知らないけれど)。

 とはいえこの「ウェストサイド・ストーリー」は、ドラマも音楽も、やはり強烈だ。特に物語の面では、移民と人種的対立の問題がある限り、身につまされるものがあろう。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/539-027b5b70
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」