2020-05

6・14(日)藤原歌劇団 ドニゼッティ「愛の妙薬」

   東京文化会館

 マルコ・ガンディーニの演出は、藤原オペラのプロダクションにしてはめずらしく舞台設定を変え、原作の「バスク地方の村」を、現代の洒落たショッピングモールの化粧品売り場とした。
 ネモリーノはモールの商品補充係、アディーナは高級ブランド化粧品売り場の美容部員、ベルコーレは士官学校生、ドゥルカマーラは美容クリームの実演セールスマン(外商)という設定だから、こいつは面白そうだと楽しみにしていたのだが、思わぬ所に落し穴あり。

 原作の村人たちなら、共同体の一員としてのネモリーノとアディーナの恋に口を挟み、合唱に参加することに何ら不思議はないが、ショッピングモールの買物客どもが店員の色恋沙汰にいちいち興味を持って口を突っ込むだろうか? 端役に至るまで細かい演技をしているにもかかわらず、第1幕では店員や客の動きが今一つ明快さを欠いた原因は、この矛盾ゆえではないかと思われるのだが、如何に。

 その点、第2幕は、脇役の動きを主として店のスタッフに絞ったことによって、話は辻褄が合ったように感じられる。

 歌手。何といってもアディーナの高橋薫子が、演技も歌唱も絶品だ。この人を観て、聴いているだけで充分舞台の醍醐味があるが――。ネモリーノを歌い演じたエマヌエーレ・ダグアンノは、ソット・ヴォーチェさえ上手くなれば文句ないだろう。ベルコーレの須藤慎吾は威勢がよくて役柄にぴったり。

 総じて歌唱面では満足すべきものが多いが、残念ながら指揮(園田隆一郎)がいかにも力不足だ。音楽に活気と軽やかな流れが皆無で、「間」がもたないのである。東京フィルともども、こんな生気のない演奏では、ドニゼッティの音楽の良さは発揮できない。

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