2020-04

6・13(土)準・メルクル指揮NHK交響楽団 「夏の夜の夢」他

  NHKホール マチネー

 前半がジャン・フレデリック・ヌーブルジェをソリストに迎えたベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第1番」。この若い(23歳)ピアニストは近来屈指の注目株だ。ベートーヴェンの若い作品における叙情的な側面を、自らのスタイルで浮き彫りにして見せる。20日のリサイタルがいよいよ楽しみになる。

 後半はメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」全曲。メルクルがN響から不思議な透明感を持った音色を引き出した。1階席で聴いた範囲では低音がかなり強く響いており、そのため音楽がやや重いイメージになっていたが、それでも音色は明晰で、各声部がはっきりと聞こえ、メンデルスゾーンの音楽が持つ精妙な音の綾が多彩に繰り広げられるのには感心した。

 序曲で、スケルツァンドな木管や弦の向こう側から、やや音を割ったホルンがすこぶる鮮烈な音で響く。面白い感じだった。
 この演奏を聴いていて、ハタと思い当たったのが、プロコフィエフの「炎の天使」の悪霊が跳梁する場面で、飛び交う弦の中にホルンが短く鋭く何度も咆哮する音楽だ。あれはまさしくこの「夏の夜の夢」の精霊の音楽からヒントを得たものではないかと。

 ただ今日の演奏は、いわゆる夢幻的な、妖精的な音楽の面白さを味わうという面になると、果たしてどうだろうか? 合唱(東京音大)とソリ(半田美和子、加納悦子)も、軽快な美しさという点では、先日水戸で小澤征爾の指揮で聴いた東京オペラシンガーズと中嶋彰子他の歌唱に一歩を譲るだろう。

 ナレーターは中井貴恵が担当した。やや演劇調だが、悪くない。
 彼女のせいではないが、「序曲」のあとにシェイクスピアの原作について「聴いていただきましょう」(とは言わなかったが)的な「解説」を彼女に喋らせたのは、いかにも「NHKの放送」的センス。音楽と物語のロマンティックな雰囲気のバランスを、見事にぶち壊してしまう。

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