2020-04

6・10(水)新国立劇場「ラ・チェネレントラ」2日目

  新国立劇場

 新国立劇場がこのロッシーニの「ラ・チェネレントラ」を取り上げたのは、意外にもこれが最初。レパートリーの嘆かわしい空白の一つがやっと埋められたことになる。

 ただし演出・装置・衣装は、21年前に他界した名匠ジャン=ピエール・ポネルが制作したもので、今回の演出・演技指導はグリシャ・アサガロフが行なったという。装置と衣装はともかく、演出にはポネルのそれらしい洒落た味もあるのは事実だが、舞台のあちこちに感じられる「隙間」のようなものが何かもどかしい。もしポネル本人が直接采配を振るっていたら、おそらく遥かに密度も濃く、美しい舞台になっていたろうに――と思っても詮無きこと。

 とはいうものの、3人の主役歌手のおかげで、舞台の体裁は保たれた。
 チェネレントラには、強豪(!)ヴェッセリーナ・カサロヴァ。シンデレラ役としては少々オッカナイ雰囲気だし、独特の「カサロヴァぶし」の炸裂は強烈な個性に過ぎて好みが分かれるのも致し方ないが、これだけ存在感のあるメゾ・ソプラノが新国立劇場に初登場したのは歴史的(?)なことなのかもしれぬ。

 王子ドン・ラミーロのアントニーノ・シラグーザは、昨年暮にベルリンで「アルジェのイタリア女」のリンドーロを聴いた時(あの時も相手役はカサロヴァだった)に比べると、少し勢いに不足する感もあったが、聴かせどころのアリアでは充分に本領を発揮、最後のくだりをアンコールする余裕も見せてくれた。
 従者ダンディーニはロベルト・ディ・カンディア。この人は派手ではないが、安心して聴いていられるタイプだ。
 強欲な父親ドン・マニフィコ役のブルーノ・デ・シモーネと、黒幕的な哲学者アリドーロ役のギュンター・グロイスベックがもっと一癖も二癖もある表現をする人たちだったら、今回の舞台は実に楽しいものになったであろうに、それが残念至極である(演出次第でどうにでもなるはずなのだが・・・・)。

 性格の悪い娘クロリンダとティースベをそれぞれ演じた幸田浩子と清水華澄は、3枚目的な大熱演。外国人歌手勢がほとんど演技らしい演技を見せない(これは何ともなさけない)ので、代わって舞台を明るく引き立てるのに貢献したともいえよう。新国立劇場合唱団(男声)もよくやっていた。

 指揮は、カサロヴァの希望で今回選ばれたとか聞く、英国のデイヴィッド・サイラス。管弦楽は東京フィル。
 序曲の最初のマエストーゾあたりでは音楽に全く生気が感じられず、これは危ないかなと思ったが、アレグロ・ヴィヴァーチェの途中あたりから演奏に少しノリが出て来た。総じてリズム感に不足するのが問題だが、アリドーロのアリアでの木管のハーモニーや弦の歌などきわめて美しく印象的だったし、全曲を通じて「ロッシーニ・クレッシェンド」の音のバランスの良さもなかなかのものであった。

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カサロヴァ

今回のカサロヴァのように、新国立劇場にも、今最も活躍している歌手達が出演しないものでしょうか。外国のメジャーなオペラハウスと同じように。NHKホールのようなひどい場所で外国のオペラハウスの引越公演をやるのはやめて。

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