2020-04

6・5(金)フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団「イオランタ」

  サントリーホール

 チャイコフスキー最後のオペラ「イオランタ」の、純演奏会形式上演を聴く。
 一昨年秋にロジェストヴェンスキーが読売日響を指揮した演奏会形式上演も良かったが、やはり今日は、一枚上を行った感がある。

 最大の要因は、フェドセーエフが手兵モスクワ放送響を自在に制御して引き出す弱音の美しさに在るだろう。昨日の「第4交響曲」と同様、16型(コントラバスは同じく10本)のオーケストラをフワリと柔らかく、豊かな空間的拡がりを持たせて響かせるその音づくりの見事さは名人芸だ。

 今日の演奏でも、ヴォデモン伯爵とロベルト公爵が近づいて来る個所や、レネ王たちが登場する個所、終結近くロベルト公爵が連隊を率いて接近して来る個所など、「遠くから誰かが近づいて来る瞬間」で、オーケストラが波打ちながら次に「来る」ものを予感させる――そういう演奏が、なにしろ図抜けて巧く、美しいのである。
 また、医師エブン=ハキアがイオランタ姫の眼の治療について王を説得するアリアでオーケストラが次第に高潮して行く部分も、熟練のワザだ。チャイコフスキーの劇的手法と管弦楽法の冴えをこれほど見事に浮き彫りにしてくれた演奏は、私にとっては初めて聴くものであった。

 イオランタ役は、読売日響の時にも歌った佐藤美枝子。ロシア人ソリストたちの中にただ一人、それもタイトルロールを歌うということで一抹の不安もなくはなかったが、それは完全に吹き飛んだ。前回よりもはるかにのびのびと歌っていた。
 9人の共演歌手たちも手堅く安定。P席に配置されたモスクワ合唱団(ウラジーミル・ミーニン指揮)のメンバーも、目立つ個所は少ないけれどもよく歌っていた。

 字幕は一柳富美子さんだろう。読売日響の時と同じだった。彼女の字幕は言葉が生き生きしていて解りやすく、私は好きである(レネ王のモノローグの中で一つだけよく解らないところがあったが、そんな細かいことはどうでもいい)。
 ただし今回の字幕板の設置場所は、オルガン両横の高い所(サントリーホールでは時々あそこが使われる)。雲煙万里の彼方(?)だ。目が疲れる。

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