2008-07

4・7(土)ザルツブルク・イースター音楽祭
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル 

 ザルツブルク祝祭大劇場(夜6時30分)

 1曲目、ショスタコーヴィチの組曲「黄金時代」のユーモアを覗かせる曲想に、客席から軽い笑いも漏れる。演奏もそれにふさわしく明るかったが、そこがベルリン・フィル、何か一つまじめくさった表情が残っていて、冗談と皮肉を自分では一所懸命愉快そうに話してみせるのだけれども・・・・という感じだ。ロシア人の音楽家が演奏するときのような、一種の粗野なユーモアのようなものは微塵もない。そこがまた微笑ましいのだが。

 イェフィム・ブロンフマンがラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」を弾く。これも出だしは意外に几帳面な表情で、しかも彼の音がオーケストラの豊麗な主題の響き(特にヴィオラが見事だった!)に埋没してしまう状態だったから、どうなることかと思わせたのだが、そのうちに己れのペースを取り戻したようだ。ラトルの「もって行き方」も実に巧い。フィナーレ最後の「決め」でのハッタリをかませた鮮やかさたるや、ベルリン・フィルの巧さも加わって、かのゲルギエフとマリインスキー管の演奏をも凌ぐほどであった。とは言っても、こういう時だけ瞬時にして総立ちの熱狂を示すというのは、ザルツブルク・イースターに来る欧米人客のレベルも落ちたものである。

 最後のブラームスの「第4交響曲」では、ラトルとベルリン・フィルの目覚ましい進化が示されたと思われる。ラトルの神経の行き届いた音楽の構築、ベルリン・フィルの超絶的な巧さとの結合が生み出す、艶やかな弦の音色と緻密に交錯する声部の美しさには舌を巻くほどであった。ドイツのオーケストラらしくないブラームスであり、また陰影のほとんどないブラームスではあるが、ラトルが最近よく口にしている「リニューアル」なるものは、ここでも達成されていると思ってよかろう。
 このオーケストラは、見事に巨艦として蘇った・・・・と私は思ったのだが、客の拍手は通り一辺のものである。2階席で聴いていた知人たちには、全く正反対の、硬くケバ立った耳障りな音に聞こえたという。この劇場の、席による音の違いは今に始まったものではないけれども・・・・。

コメント

カラヤンの死後は(生前は、行きたくとも、チケットが入手困難でした)、復活祭には時々行っています。
2007年は、4/7〜9までの3日間鑑賞しました。
しかし、「曲芸」のような、ラフマニノフにあんなにここの聴衆が湧くなんて、以前は考えられなかった光景です。

ザルツブグルに来る前に滞在したベルリンで、動物園の「クヌート」に群がる老若男女を思い出して、おかしいやら、はらだたしいやら・・・・・
(私も行列して見ましたが・・・・)

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