2019-06

2・3(火)シカゴ交響楽団来日公演 3日目

  サントリーホール

ハイドンの「時計交響曲」に、ブルックナーの「第7交響曲」。

 「時計」第1楽章が主部のプレストに入った瞬間、第1ヴァイオリンの何とまあ美しい音色だろうと、うっとりさせられてしまう。初日の「ジュピター」同様、基本的にはかつて聴き慣れていたスタイルの演奏だ。それは、不思議な懐かしさと安堵感を抱かせる。
 ――とはいえ、その美しさにもかかわらず、しばらく聴いていると何か名状しがたい欲求不満を抑え切れなくなってしまうのは、歯切れと切れ味のいいスリリングなタイプのハイドン演奏に惹かれ、それに慣れてしまっている私の好みゆえか。
 もちろん、今日の演奏のようなスタイルもあっていい。たまにこういうのを聴いてホッとするのも悪くない。

 ブルックナーの方は、圧巻だった。コンセルトヘボウ管弦楽団その他の演奏でもよく聴いた「ハイティンクのブルックナー」だから、実は今回のプログラムの中ではさほど大きな期待をしていなかったのだが、彼は昔の彼ならず。クライマックスへの持って行き方も、驚くほど巧い。
 それは、このようなスーパー・オーケストラの演奏で、しかもナマで聴くと一層よく解る。楽章を追うごとに壮大さを増して行く彼の音楽づくりは、シカゴ響の並外れた力量と相まって、物凄い効果を発揮するのである。

 第2楽章の頂点(ノーヴァク版による打楽器入り)を聴いた時には、やはりハイティンク、フォルテ3つの個所でもまだある程度抑制――音量の問題でなく、音楽の昂揚という点でだが――した演奏をするのかと思ったが、どうしてどうして、第3楽章で彼はオーケストラからそれを上回る力感を引き出した。そして第4楽章後半からコーダにかけては、金管群にいよいよ強烈なエネルギーを発揮させて行った。
 シカゴ響の金管も、もうここまでが限度だろうと思わせながら、次の瞬間には更にそれを超える巨大な音の壁としてそそり立って行く。しかもその響きが、驚異的に、全く濁らないのだ。トロンボーンとトランペットとホルンは、信じられぬほどに見事な均質を保ち続けていたのであった。

 並みの演奏なら構成上の弱点をさらけ出しかねないこの第4楽章を、ここまでがっしりと圧倒的に構築して見せたハイティンクとシカゴ響の実力には、最敬礼を捧げるしかない。
 いうまでもなく、弦楽器群の豊麗で厚みのあるカンタービレもすばらしい。第2楽章第2主題はもちろんその好例に違いないが、私はむしろ第3楽章のトリオの後半部分を挙げたい。

   音楽の友4月号(3月18日発売)カラー頁記事

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