2021-06

2021・6・10(木)松田理奈(vn)と三舩優子(pf)のブラームス

       Hakuju Hall  7時

 「Hakuju サロン・コンサート vol.8」と題されたコンサート。「サロン」というのは、演奏前に2人のトークが少々入ることにより意味されていたのかもしれないが、失礼ながらこのトークはぎこちなくて盛り上がらず、さほど意義はなかったようにも見えた。
 ともあれ、松田理奈は既にキャリア20年、三舩優子の方は30年のキャリアを持つ(もうそんなに年が経ってしまったのかと感無量だが)。さすが美女2人のデュオ、NHKのテレビも入っていた。

 今回はブラームスのヴァイオリン・ソナタ3曲が、第1番から順番に演奏された。1曲ごとに短い休憩を入れ、演奏者、聴衆ともに気分転換を図るという仕組みだったが、これは確かに聴衆にとっては、1曲ごとに新たな気持で集中できるという効果をもたらしていたし、その演奏においても、各曲それぞれの性格の違いをいっそう明確に浮き彫りにする上で意味があったと言えるだろう。

 このよく響くホールでは、ピアノとヴァイオリンのバランスをとるのが極度に難しいかもしれない。特にピアノが鳴り過ぎる傾向があるようである。ソリスト2人もそれを意識したのかどうか判らないけれども、最初の「1番」では、演奏が何となく慎重で手探り気味になっているように感じられたのは事実だ。
 だが、20分の休憩を入れた後の「2番」では音楽が生き返ったようになり、特に第3楽章では瑞々しさと風格とを湛えて、素晴らしく聴き応えがあった。そして「3番」では、劇的な昂揚が目覚ましく、情熱豊かに全曲を結んで行った。

 この演奏の変化は、それぞれの作品の性格を、作曲年代ごとに巧く描き分けたような結果となったのが面白い。まるでブラームスが、この3曲を通じていよいよ自信を深め、雄弁の度を加えて行ったことをみずから物語っているような流れになったのである。

 ブラームスの音楽の魅力が充分に再現された演奏会。

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