2021-06

2021・6・6(日)サーリアホ:「Only the Sound Remains―余韻」日本初演

      東京文化会館大ホール  3時

 フィンランドの有名な女性作曲家カイヤ・サーリアホ(1952年生)が2014~15年に作曲したオペラ「Only the Sound Remains―余韻」が待望の日本初演。

 能の「経正」と「羽衣」を題材にし、それらを第1部・第2部(各45分)として構成した作品だけに、早く観たいと思っていた。初演は2016年3月15日にアムステルダムで行われたが、それはあとで知ったことである。英文台本はエズラ・パウンドで、今回はもちろん日本語字幕付上演。

 指揮はクレマン・マオ・タカス、演出はアレクシ・バリエール、振付とダンスが森山開次。
 主演はミハウ・スワヴェツキ(CT、経正の亡霊と天女)、ブライアン・マリー(マレー? Br、行慶と白龍)、合唱が新国立劇場合唱団の渡邊仁美(S)・北村典子(A)・長谷川公(T)・山本竜介(Bs)。
 オーケストラは成田達輝・瀧村依里(vn)、原裕子(va)、笹沼樹(vc)、神戸光徳(perc)、カミラ・ホイテンガ(fl)、エイヤ・カンカーンランタ(カンテレ)。

 サーリアホのオペラと言えば、私にはこれまで「遥かなる愛」が馴染みの存在だった。2000年にザルツブルク音楽祭で観て以来、2015年5月28日の演奏会形式日本初演、2017年1月22日のMETライブビューイングでも━━という具合だったが、サーリアホのあの柔らかい音楽の響きには、常に魅了されたものであった。
 今回の作品は、それにも増して玲瓏たる夢幻的な美しさにあふれている。カンテレ(私はこの楽器の音色が好きだ)を加えて色彩を増したオーケストラは、打楽器の音をもハーモニーの中に溶け込ませつつ空間的に広がって行く。

 声楽にはPAが使われているが、特に合唱には屡々長いエコーが付加されて、その余韻が無限の彼方にまで響いて行く、といった具合。このような電気的処理(音響はクリストフ・レプトン、音響エンジニアがティモ・クルキカンガス)が効果的に使用されているところは、さすが現代オペラという感だ。

 ただ、音楽的にはかくの如く魅力的なところが多かったのだが、バリエールの新演出の方には、どうも腑に落ちないところが少なからず見られる。その一つは、森山開次のダンスにあるかもしれない。
 「羽衣」などでは、ダンスは女性的で美しいことは確かだが、総じて「踊り過ぎる」のでは? 天女が最初からずっと踊っていたのでは、最後に羽衣を着けて天女の舞を披露するという場面が全くクライマックスとしての性格を帯びないのではないか? 
 アムステルダムでの世界初演の際に演出を担当したピーター・セラーズはどのようにしていたのか知らないけれども、彼の舞台だったらもっと「面白く」なっていたのではないかという気もする。

 20分の休憩を含み、終演は4時50分頃か。サーリアホは1階前方の客席から観客の大拍手に応えていた。

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