2021-06

2021・5・2(日)大植英次指揮東京交響楽団のチャイコフスキー

      ミューザ川崎シンフォニーホール  2時

 昨日、「モーツァルト・マチネが始まる前、舞台の袖でファゴットがチャイコフスキーの「第4交響曲」のパートを練習しているのが聞こえたのには思わず吹き出してしまったが━━今日はそのチャイコフスキー・プログラムだ。
 大植英次が指揮して「ヴァイオリン協奏曲」と、その「第4交響曲」が演奏された。これは1月17日に予定されていた「川崎定期」の延期公演である。コンサートマスターはグレブ・ニキティン。

 「ヴァイオリン協奏曲」では木嶋真優がソリストとして登場。最近では珍しく、第3楽章のモティーフの繰り返しの個所を省略する版(アウアー版? ハイフェッツらが使っている)で演奏していたのは意外だったが、それはともかく、彼女の演奏がちょっと野性的になって来たのではないかな、などと思いつつ、興味深く聴かせてもらった。

 休憩後の「第4交響曲」は、まさに大植英次の本領発揮というか。最近聴いたこの曲の演奏の中では、やたら面白い解釈だった。
 彼は随所に凝った仕掛けを施しており、例えば第1楽章では主部(モデラート・コン・アニマ)に入って3小節目の二度目の付点8分音符の変ロ音を突然延ばし気味にして見せたり(11小節目のそれも同様)、
 第4楽章ではあのロシア民謡による主題の繰り返しに、一度目はスタッカートで、二度目はレガートで演奏させるという変化を与えたり、
 ━━その他にもテンポを自在に動かしたり(第1楽章)、総休止を突然長く採って気分の転換を強調したり(第4楽章第60小節の前や第149小節の前)、という具合なのである。

 こうした仕掛けは、いったん外れると鼻持ちならぬものになってしまうのだが、今日の大植英次と東京響の演奏は、幸いにもほぼ完璧に嵌っているので、それに慣れて来ると結構快い気分に引き込まれる。比較的ストレートに演奏された第2楽章でさえ陰翳と情感に溢れて、私は大いに陶酔させてもらった次第だ。

 この「第4交響曲」、些か飽き気味の曲なのだが、今日のような演奏で聴くと、ちょっと違う音楽に聞こえて、また新たな興味が湧いて来る。

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