2021-06

2021・4・25(日)「魅惑の美女はデスゴッデス!」他

     テアトロ・ジーリオ・ショウワ  2時

 昭和音大のホール「テアトロ・ジーリオ・ショウワ」は、東京都内ではなく、神奈川県川崎市にあるため、オペラ上演は未だ予定通り行われている。入場の際に体温測定と手のアルコール消毒を義務づける、というのはクラシック音楽の演奏会では通常の形だが、ここでは休憩時間に戸外で空気を吸って再入場する際にもそれらをもう一度強制する、という徹底した感染予防対策を講じている。

 今日は日本オペラ協会主催の、日本オペラ協会&藤原歌劇団の公演で、池辺普一郎の「魅惑の美女はデスゴッデス!」とプッチーニの「ジャンニ・スキッキ」のダブルビル上演の2日目。演出は岩田達宗。

 前者は、1971年にNHKのテレビ用オペラ「死神」として創られたもので、あの有名な圓朝の落語「死神」を基に、死神を爺ではなく美女に仕立てるなど設定を変更、映画監督の今村昌平が台本を書き、当時東京藝大の大学院学生だった池辺普一郎が音楽を創ったという異色の作品だった。現在の題名に変えられたのは2010年の日本オペラ協会による上演の時からだったという。

 大変なブラックユーモアのストーリーだが、いろいろな時事ネタも織り込まれていたりして、舞台はすこぶる楽しい。池辺さんの音楽も、現在のそれとは違って、もっと気負って尖ったリズミカルな性格を多く含んだものなので、これまたすこぶる興味深いものがあった。
 相樂和子(死神)、山田大智(早川)、沢崎恵美(その女房)ら10人の歌手が舞台を飛び回って熱演、コーラスの日本オペラ協会アンサンブルもエロティックに好演して、好い上演となった。休憩なしの90分、面白いが、長い。

 休憩後の「ジャンニ・スキッキ」では、牧野正人(ジャンニ・スキッキ)、別府美沙子(ラウレッタ)ら、総勢15人のソリストたちが賑やかに熱演した。従って、これはこれでまとまっていたことは確かなのだが、私の方は第1部でのリアルな怪談(?)の濃さに、気力と体力をすっかり吸い取られてしまっていた、というのが正直なところ。

 しかし、このブラックユーモア2題という組み合わせ上演はなかなか秀抜なアイディアで、成功していたと思う。
 さらに悪乗りするなら、「ジャンニ・スキッキ」の中に第1部の「美女の死神」を登場させ、遺族たちから「お前の出番じゃない」と追い払われるシーンを入れるとか、ラストシーンのスキッキが大見得を切る背後にその死神を纏わりつかせるとか、そんなジョークを入れたら「2題」の関連性も濃くなったのではないか、と、━━これは私の勝手な案。

 指揮は松下京介、「ジャンニ・スキッキ」では、テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラの音が粗く、所謂「プッチーニ節」がほとんど生かされていなかったことに大きな不満が残った。それに、木管の響きをもう少しまろやかにするとかして、歌を美しく浮き出させるようにしたら如何か、とも思う。

コメント

土曜の公演を拝見しました。

 池辺晋一郎先生の作品の方は、2回目の拝聴拝見だったのですが、東条先生の仰るように、面白くはあるのですが、私も長く感じてしまいました。
 個人の意見ですが、台本に、もう少し整理する余地を感じるのと、刺激的な言葉が本当に必要なのか、また、歌手によっては、歌の発声法のままセリフも不自然にしゃべってしまい、どこからどこまでが歌か、セリフか分かりづらくなりやすい、また、もう一つ、印象に残るアリアが‥など、検討すべき所があったように思います。そんな中、タツ役の家田紀子さんに、最後のオチの部分も含め、好印象を持ちました。家田さんは、以前からオペラ「おしち」など日本の創作オペラで、素晴らしい成果を出しておられますが、そうした経験値も改めて感じました。
 一方、後者は上江さんの堂々としたリードが印象に残りました。その他の諸キャストもそれぞれ良かったのですが、ラウレッタやリヌッチョのアリアは有名すぎて、聴く機会も多いが故に、逆に、なかなかオリジナリティや超名唱だと感じることも難しいのかも‥と思いました。
 当日は会場内で、ノーマスクの女性を見かけました。一般に、マスク過敏症の方もおられることは知っていますし、私のいた所から見えなかっただけで、一般の理解を得るためのご配慮、ご努力もされておられた、と思いたいですし、そうでしたら申し訳ないのですが、この方はカードなどでの告知、あるいは「扇子」などを使って口や鼻を抑える、などされていたでしょうか。(配慮なしでも、周囲が事情を察すべきという説もありますが、今だに一般に事情なく、ノーマスクの人がいる状況では時期尚早でしょう。)
 また、この日は2階席上手にまとまった空席もあったので、主催者に申し出て、そちらを利用すべきだったことと思います。
 特段の事情もなく、ノーマスクなのなら、市民社会一般の「センス」のない人なのでしょうし、市民が育ててきた芸術文化に接する必要もないレベルの人であることと思います。

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