2021-06

2021・4・21(水)新国立劇場「ルチア」

      新国立劇場オペラパレス  2時

 ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」。新国立劇場としては以前のトラヴァリーニ演出版に次ぐ二つ目のプロダクションで、2017年3月にプレミエされたジャン=ルイ・グリンダ演出版のこれが再演である。

 今回はスペランツァ・スカップッチが東京フィルハーモニー交響楽団を指揮。歌手陣は、イリーナ・ルング(ルチア)、ローレンス・ブラウンリー(その恋人エドガルド)、須藤慎吾(ルチアの兄エンリーコ)、伊藤貴之(ライモンド)、菅野敦(ノルマンノ)、又吉秀樹(アルトゥーロ)、小林由佳(アリーサ)、新国立劇場合唱団。

 舞台と演技に関しては、前回(→2017年3月23日)と全く同じなので省略する。

 スカップッチという女性指揮者は、3年前の東京・春・音楽祭に来日して都響を振った時には、全くどうしようもない緩い指揮者だと思ったが、今回は全く別の人のよう。きびきびとした指揮ぶりで、音楽に勢いがあるし、テンポは速めで引き締まっているし、畳み込むような迫力にも不足していない。第2幕フィナーレのアンサンブルがあれほど速いテンポで演奏され、劇的な効果をもたらしていたのを、私はこれまで聴いたことがない。
 ただし些か気になるのは、リズムの芯が少し曖昧なことと、そのためハーモニーの響きの安定に不足することだろうか。エドガルドとエンリーコが対決する場面(この演出ではエドガルドの館ではなく、荒漠たる海岸)の音楽が一つ迫力を欠いたのも、それが原因だろうと思う。
 だが、いずれにせよ、前回の時は、やはりオケとの相性か何かが悪かったのかもしれない。

 歌手陣ではルチア役のイリーナ・ルングが健闘していたが、私はむしろ、代役で出演した須藤慎吾(エンリーコ)の悪役的な演技と歌唱を讃えたい。自分の要求に従わぬ妹ルチアに激怒しつつ、ご意見番ライモンドを見て一瞬顔をしかめるという演技、あるいは激怒して部屋を出て行こうとしつつ、ルチアがひときわ強い拒否(高音)を示した瞬間に振り向いて彼女を罵るという演技など、悪役顔の表情も豊かに、見事に微細な演技を示していた。
 総じて、よくまとまったプロダクションであり、上演であったと思う。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」