2021-06

2021・3・30(火)東京・春・音楽祭 菊池洋子の「ゴルトベルク変奏曲」

      東京国立博物館 平成館ラウンジ  7時

 東京・上野を中心に開催されている恒例の「東京・春・音楽祭」。その一環としての「東博のバッハ」シリーズ、vol.53は、菊池洋子がピアノで演奏するバッハの「ゴルトベルク変奏曲」だった。
 東京国立博物館の建物の一つ「平成館」の、広いロビーのような場所にピアノを据え、それを半円形に囲むような形に数十の椅子を並べて、少人数の親しみやすい雰囲気の中にバッハを聴く、というコンサートである。

 菊池洋子さんの演奏は、モーツァルトをはじめとしてこれまでにもたびたび聴いてはいるが、彼女のバッハを聴くのは今回が初めてかもしれない。
 今日の「ゴルトベルク変奏曲」は、速めのテンポによる、目覚ましい推進力と気魄とを備えた演奏だ。例のカイザーリンク伯爵の「眠れぬ夜のために」の伝説が必ずしもあてにならぬと見なされる当今、こういう演奏解釈も面白い。

 30の変奏が、その流れの中で何度か起伏を繰り返し、そのたびごとに音量と力を増して行くような構築。第29変奏における嵐のような(ちょっとリスト的なほどの)昂揚は、第30変奏の「クォドリペット」に入ってもなおその勢いを持続してやまず、最後の「アリア・ダ・カーポ」に入るや初めて音楽が落ち着きを見せ、過ぎ去ったドラマを回想するようにエピローグを語りつつ消えて行く━━という具合。
 音量の面でも強靭な、骨太のバッハに感じられたのは、会場と、ピアノと、われわれの聴く位置との関係の所為かもしれない。

 8時20分頃終演。上野公園は見事なほど満開の夜桜に彩られて美しいが、花見客はほぼ皆無で、所々でスケボーの若者たちが騒いでいる以外は、むしろ寂しい雰囲気だ。こうなると上野公園は実に宏大に感じられる。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」