2021-06

2021・3・27(土)鈴木秀美指揮新日本フィルハーモニー交響楽団

     すみだトリフォニーホール  2時

 ベートーヴェン・プロで、「三重協奏曲」と「交響曲第5番《運命》」。
 協奏曲のソリストは、楽団ソロ・コンマスの崔文洙(vn)、同首席チェロの長谷川彰子(vc)、文洙の兄の崔仁洙(pf)。コンサートマスターは西江辰郎。

 「三重協奏曲」は、ソリストたちの伸びやかなソリで、彼らのアンコールの「街の歌」第2楽章とともに寛いで聴けた。
 だが、何といっても今日の白眉は「第5交響曲」だろう。極度に鋭角的なアクセントと強烈なデュナーミクを備え、ハリネズミのように全身の毛を逆立てた「第5」。

 スコアの全ての音符にいたるまで微細に神経を行き届かせた鈴木秀美の演奏構築は見事なものだったが、ただその速いテンポの中でそれを完全にこなすのは、オーケストラにとっては至難の業だったであろう。とはいえ、こういうタイプの演奏の場合、かのガーディナーにせよブリュッヘンにせよ、オーケストラを完全に鳴らし切るところまではやれなかったのだから、仕方のないところなのかもしれない。
 いずれにせよ、日本のオーケストラがピリオド奏法で演奏した「5番」の中で、これは飛びぬけて鋭い「5番」だったことは、間違いない。

 第3楽章295小節以降のホルンの「運命のモティーフ」があれほどはっきりと聞こえたのも、ナチュラルホルンが使用されていたためだろう。なおこのナチュラルホルン、第4楽章コーダの、あの跳躍音程の個所を除けば、見事な演奏だった。
 その第4楽章も強大で立派な風格を備えて響いていたし、全曲にわたり厳しく統一された構築の、緊迫感の豊かな、極めてエキサイティングな「運命」であった。
 最近の鈴木秀美の指揮は凄い━━という口コミは的を射ている。今日の演奏では、彼の本領を垣間見たような思いにさせられた。また新日本フィルの挑戦的な姿勢も好い印象を残した。

 そして更に特筆すべきは、今回の「5番」は、あのギュルケが校訂して話題になった第3楽章の反復を復活させた稀有な例だったことである。

 アンコールは、ベートーヴェンの「12のメヌエット集」からの「第11番」だったが、しかしこれは━━この曲の性格からして、いくら何でも激し過ぎたのではないか?

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