2021-06

2021・3・26(金)高関健指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

      サントリーホール  7時

 常任指揮者・高関健の指揮による3月定期。
 当初はヴェルディの「レクイエム」がプログラムに組まれていたが、飛沫感染予防のため、大合唱の出る作品の演奏が避けられてしまった。
 だが、この代替プログラムもいい━━モーツァルトの「交響曲第31番ニ長調《パリ》」と、ショスタコーヴィチの「交響曲第8番」である。高関の真摯で手堅いアプローチと、シティ・フィルの熱演により、見事な演奏となった。

 「パリ」は、オリジナルのアンダンテ楽章を使用し、編成を比較的大きくしての、祝典的な性格を打ち出した演奏。この曲はやはりこういうスタイルで豪華に演奏された方が面白い。

 そして休憩後の、ショスタコーヴィチの「8番」は、まさに渾身の快演であった。オーケストラは弦14型編成だが、絶叫と咆哮の音量は物凄い。この曲に籠められた絶望的な感情とでもいったものを抑制することなく、狂乱的に爆発させた演奏とでもいうか。特に全管弦楽が疾走する第3楽章での演奏は凄絶で、前楽章からアンサンブルのバランスを整え始めていたシティ・フィルが、ここでは見事な力を発揮して行った。

 第5楽章の結尾は予想外に淡々としていて、所謂悲劇的な、白々とした空虚感を滲ませた演奏にはならず、何かしら未来への希望を漂わせたような終り方になっていたのは、高関の解釈だったのか。
 終結近く、チェロのソロが出る直前に首席チェロの弦が切れ、楽器を変えるために僅かな休止が取られたことが演奏の雰囲気を変えてしまったような感もあるが━━しかし、この第5楽章へアタッカで入った瞬間、演奏に表現されていた一種の光明感が印象的だったから、やはり今日は「悲劇と絶望感からの解放」が幕切れのコンセプトだったのかもしれない。
 この辺はマエストロに訊いてみないと判らないけれども、私はただ自分が聴いた印象だけを正直に書いておく。とにかく、いい演奏だった。コンサートマスターは戸澤哲夫。

 シティ・フィルは、来シーズン(6月から)の定期演奏会を、また東京オペラシティコンサートホールに戻す。高関健と、桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎、首席客演指揮者の藤岡幸夫、ほかに下野竜也らも登場する。
 その前に、5月には飯守泰次郎の傘寿記念として「ニーベルングの指環」ハイライト演奏会が外国の名歌手たちを招聘して予定されていて、何とか予定通りの陣容で開催されるといいが━━。

コメント

7/9日関西フィル定期でも8番 延期されたもの待望です、京響を見逃したこともあり。
高関さんのショスタコといえば群馬響との10番(2楽章ではジャンプ)センチュリー響とのジャズ組曲、この時はシェーンベルク。ウエーベルストラビンスキー、と合わせたプログラム、その後のセンチュリ‐との9番は楽天的と見せながら秘密警察の足音が聞こえるような恐怖体験を感じた。こだわりの高関さん8番楽しみだ。

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