2021-06

2021・3・12(金)辻彩奈ヴァイオリン・リサイタル

     紀尾井ホール  7時

 阪田知樹のピアノとの協演で、前半にモーツァルトの「ソナタ変ホ長調K.380」とベートーヴェンの「ソナタ第7番ハ短調作品30の2」。後半は最初に権代敦彦の「Post Festum~ソロ・ヴァイオリンのための 作品172」がソロで演奏され、その後再び阪田とのデュオによるフランクの「ソナタ」で結ばれた。
 アンコールはサティの「偽善者のコラール」とパラディスの「シチリアーノ」。

 阪田知樹のピアノが━━もちろんフタを開いた状態で━━すこぶる宏大な音量で響き渡るので、少なくとも2階正面で聴いている範囲では時にヴァイオリンがマスクされてしまう傾向もあったが、デュオとしての音楽の多彩さという点では、充分なものがある。
 とりわけフランクのソナタは圧巻で、今日は流麗さがひときわ目立っていた彼女の主張の明確なソロと、その背景に大海の如く拡がる阪田の雄弁なピアノとが、絶妙な世界をつくり上げていた。力まず、熱演型に陥らず、しかも流れるように伸びやかに歌い上げる辻彩奈のソロは、この若さ(1997年生れ)とは思えないほどの落ち着きを感じさせる。

 無伴奏で演奏された権代敦彦の「Post Festum」は、作曲者自身のProgram Noteによれば(「祭の後」という意味だとかで、小品3つからなり、元来はそれぞれアンコールとしても演奏できる仕組みの由。例えばシベリウスやチャイコフスキー、ブラームスなどの協奏曲を弾いた後にこの何曲目を━━といったジョーク交じりの解説がついているのも面白い。
 今日はその3曲がまとめて演奏されたが、多様な奏法を駆使して多彩な音の変化を繰り広げるさまが実にスリリングな緊迫感を生み出していて、面白かった。辻彩奈が委嘱した曲だっただけに、すべて暗譜で演奏していたのは流石である。

コメント

大阪で拝聴しました!

大阪での同プログラムを拝聴しました。フランクのソナタが、とりわけ素晴らしかったです。私、辻さんの協奏曲を拝聴して、いつかリサイタルを拝聴したいと思っていました。表現力豊かですね。「Post Festum」も面白かった。作曲家の権代さんが、会場にいらっしゃいまして、拍手を浴びていらっしゃいました。阪田さんの演奏も素晴らしく、12月9日の兵庫でのリサイタルを拝聴したいと思います。最後の辻さんのご挨拶に、彼女のお人柄を感じました。

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