2021-04

2021・2・27(土)下野竜也指揮NHK交響楽団

      BUNKAMURAオーチャードホール  3時30分

 真面目な指揮者と真面目なオーケストラ。その二つの個性が良い形で合致した演奏会と言っていいか。
 プログラムも、ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲、ブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」(ソロは三浦文彰)及び同「交響曲第4番」という、これまたいかにも真面目なイメージのプログラムだった。コンサートマスターは伊藤亮太郎。

 冒頭の序曲など、まさにシリアスで整然として、実直な感を与える演奏だったが、わずかに最後の和音でティンパニをひときわ強く叩かせ、終結感を強調して引き締めるあたりに下野の演出の巧さが滲み出る。

 次のコンチェルトになると、その謹厳な年長者たちと、その中に突如割り込んできた屈託ない若者との対話といった感で、しかしどちらかが妥協するわけでもなく、それぞれがそれぞれの口調のまま話を交わして、終ってみれば何となくちゃんと一つの世界が成立していた、とでも言えようか。3年ほど前に東京で三浦文彰がフェドセーエフ指揮モスクワ放送響とチャイコフスキーの協奏曲を協演した時(→2017年11月15日)のような「水と油」の世界にならなかったのは幸いだ。やはり、同じ日本人同士だったからか?

 第2部のブラームスの「第4交響曲」での演奏は、私にとっては今日一番の魅力的なものだった。謹厳なりにも、激しい感情の動きを見せつつ盛り上がって行ったのが第1楽章の中盤以降。この第1楽章の終結部や、第3楽章の後半、第4楽章の終結など、下野の煽りと追い上げも凄まじく、そういう演奏になるとN響の上手さと厚みがものを言って、まさに怒涛の如き音楽になる。
 その一方、第2楽章では、弦を中心とした素晴らしい第2主題(第41~49小節および第88~96小節)をはじめ、ヴィオラとチェロがarcoで短い対話を交わす個所(第68~71小節)などでは、深々としていい感じを出しているな、と思わせる演奏も展開されていたのである。
 下野竜也の設計の巧さと、N響の重量感とが好ましく合致した「4番」だったと言えよう。

 アンコールの演奏に取りかかったので、真面目なコンビだからどうせ「ハンガリー舞曲」でもやるんだろうな、と斜めに構えていたら、何とベートーヴェンの「フィデリオ」の中の「兵士の行進」が始まった。この選曲のユーモアに感心。

コメント

兵庫で拝聴しました

兵庫での同プログラムを拝聴しました。東条先生のおっしゃっる「真面目な指揮者と真面目なオーケストラ」。とても相性がいいように感じます。三浦文彰さんの演奏も素晴らしかったです。何より、ブラームス「交響曲第4番」は、圧巻でした。N響さんは、やはり巧い!日本のトップオーケストラとしての貫禄と謙虚さ。これからも、楽しみです。終演後、ロビーでN響さんの関係者の方に、ご挨拶しましたら、ご丁寧なお辞儀をしてくださって、とても嬉しく思いました!

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