2021-06

2021・2・25(木)松本宗利音指揮読売日本交響楽団&辻彩奈

      サントリーホール  7時

 ウェーバーの「オベロン」序曲、チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」、ブラームスの「交響曲第2番」が演奏された。コンサートマスターは小森谷巧。

 コロナ禍による入国制限のため外国人指揮者たちの来日中止が多いのは残念だが、その間を縫って若手の日本人指揮者たちが活躍の場を得ているのは大いなる副産物であろう。
 今日、当初予定の外国人指揮者に替わって登場したのはシューリヒト・松本━━いや、松本宗利音という期待の若手日本人で、「まつもとしゅうりひと」と読む由。往年の大指揮者カール・シューリヒトに因み、シューリヒト夫人に命名してもらったとかいう話だ。現在28歳、札幌交響楽団の指揮者のポストに在る。

 彼の指揮を聴くのは、私は今回が初めてだったのだが、その勢いの良さと気魄、演奏にあふれる活気と熱気には、驚き、本当に魅了された。若い情熱をいっぱいにぶつけるといった指揮である。こういう若手演奏家は面白い。

 「オベロン」序曲では、かつてサヴァリッシュも重視したという「足どりも軽いリズム感」が聴かれ、チャイコフスキーの協奏曲第1楽章ではトランペットなど管楽器の最強奏3連音を際立たせるような「演出」も加えられていた(ただし後者はちょっと作為めいた感も与える)。
 この2曲では、盛り上げて追い込んで行った最後のクライマックスの直前で一瞬力の抜けるような、押しの足りぬようなところも感じられたが、最後のブラームスの「2番」では、幸いに、煽り立てるエネルギーが空転するところもなかったようである。

 そしてこの「第2交響曲」では、あの謹厳実直で落ち着きのあるイメージのブラームスが、あたかもその内面に秘めた快活さをいっぺんに噴出したかのような演奏となっていた。こういう解釈も面白い。中間2楽章での叙情感も、もちろん充分である。
 とにかく、この指揮者は注目株だ。現在のところ、若手指揮者の中では原田慶太楼とともに、指折りの存在であろうかと思う。

 一方、チャイコフスキーを弾いた辻彩奈も、今回は代役としての登場だったが、「若いシューリヒト」とともにヤング・パワーを全身で噴出させた今日の演奏も、私にはこの上なく魅力的に思えた。ベテランの指揮者と協演した時の演奏からは感じられない、体当たり的な熱狂が感じられたからである。
 この曲のソロ・パートが、これほど雄弁で熱気満載なものだとは、これまで思ってもみなかった。終始明るさを保ったまま躍動するソロには、それがチャイコフスキーの音楽に相応しいかどうかは別として、胸のすくような痛快さがある。勢い余って━━というところも二、三か所ばかり無くはなかったものの、とにかくそういう爆発的な演奏も、若さの特権というべきだろう。

 読響も、よくこの若手たちを盛り上げた。ただ、弦楽器群は良かったが、管楽器群の一部に粗さが目立って、ウェーバーとブラームスのある個所ではそれが度を越して興を削がれた。定期の時の読響とは些か違った雰囲気が・・・・無かったとは言えまい。

コメント

 松本さんの指揮は昨秋、ティアラ江東で、シティ・フィルの演奏で、はじめて接しました。レオノーレ第3では、しっかりした構成と表現の組み立て、清水和音さんとのグリーグのコンチェルトでは、ピアノの立場を立てながらの着実なオーケストラのリードと適度で有効な表現、そして、シューマンの春では、あざとからず、真摯なステージマナーと指揮ぶり、かつ、生き生きとした活力ある多様な表現で、とても印象深い演奏会に仕上がっていました。今後も活躍を期待したいと思います。

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