2021-06

2021・2・20(土)大野和士指揮東京都交響楽団

      サントリーホール  6時

 当初はマーラーの「第2交響曲《復活》」が、新国立劇場合唱団と中村恵理(S)および藤村実穂子(A)を迎えて演奏されるはずだったが、大合唱を伴う曲は感染対策上、演奏会場では具合が悪いということで、プログラムは大幅に変更された。

 だが新しいプログラムとして、同じマーラーの交響曲から、中村恵理のソロが参加する「第4交響曲」が取り上げられ、また藤村実穂子と新国立劇場合唱団が歌うブラームスの「アルト・ラプソディ」が選ばれたのは、最初予定されていた人々の顔が殆どすべて立てられた(?)というべきか。企画担当者の選曲センスは見事だ。ただし女声合唱だけは外されてしまったことにはなるが━━。

 冒頭には武満徹の「夢の時」(1981年作曲)が演奏されたが、その大編成の管弦楽による音色の、何と多彩で美しいこと。私がこれまで数多く聴いた武満作品の演奏の中でも、屈指の官能美だ。大野和士の最近の指揮の円熟味を示す快演である。

 「アルト・ラプソディ」での男声合唱は、P席に配置された24人。この合唱が参加する第3部のハーモニーはうっとりするほどの美しさだが、今日は合唱の音色がやや硬かったのと、しかもあの名歌手、藤村実穂子ほどの人が、譜面を時々見ながら歌う━━それも身体の前でなく横に置いて譜面を確認、しかも頁をめくるために横を向きながら歌う瞬間も━━などという、いつもの彼女からは信じられないような光景もあって、陶酔的な雰囲気に少しく不足した感があったのは惜しかった。
 それにしても、ブラームスのこのあたりの素晴らしい曲は、日本のオーケストラの演奏会で、もっと演奏されてもいいと思うのだが(「運命の歌」なども同様である)。

 マーラーの「4番」では、大野が弦16型編成の都響をきわめて柔らかい音で豊麗に鳴らし、この交響曲に備わる叙情美を最大限に引き出したことが印象に残る。細部の明晰さよりは壮麗に溶け合ったロマンティシズムをという狙いだったのだろう。第4楽章では中村恵理が愛らしくソロを歌ったが、先ほどの藤村実穂子と同様、今回は声楽との合わせリハーサルはどのくらいやったのかな、と思わせられるところが演奏に感じられたのは事実だ。
 今日のコンサートマスターは矢部達哉。

コメント

一般発売は既に残席少ない中で入手できたのが、東条先生が見える席。最近は同じコンサートに来ていても休憩中にわからないこと続きだったので、かなり久々にお姿見られて嬉しかったです。
さて今日は都響の音が思ったより硬くなく、1年以上ぶりに聴けたマーラーは、マーラーらしさに溢れ、マーラーって良いなぁと久々に体感できました。嬉しい。
武満の不思議な音の響きも立体的で、心地よかった。ブラームスのアルト・ラプソディは、今回この曲に出逢えたことに感謝。またどこかで聴きたいものです。合唱は空間一杯に拡がりよかったと思いましたが、硬かったでしょうか。

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