2021-06

2021・2・16(火)諏訪内晶子の「室内楽プロジェクト」第2日

       紀尾井ホール  7時

 諏訪内晶子が芸術監督を務める「国際音楽祭NIPPON2020」と題されたものの一環。本来なら昨年3月に演奏するはずだったプログラムの一部を、他の新しいプログラムと併せて組んだとのこと。
 コロナ禍による入国制限のため、予定されていた外国人演奏家は参加できず、「国際」とはいうものの邦人演奏家のみの出演ということにはなったが、集まった顔ぶれが名手ぞろいとあって、聴き手側としては充分に楽しめた。
 出演したのは、諏訪内晶子と米元響子(vn)、鈴木康浩(va)、辻本玲(vc)、阪田知樹(pf)というメンバーである。

 プログラムは、
 諏訪内のソロで、スティーヴ・ライヒの「ヴァイオリン・フェイズ」(1967年作)
 諏訪内と辻本と阪田の演奏で、川上統の新作、組曲「甲殻」から「ウミサソリ」「ミジンコ」「ガザミ」「オトヒメエビ」)2005~2019年)
 米元と辻本と阪田で、ダルバヴィの「ピアノ三重奏曲」(2008年)
 前記5人で、オーンスタインの「ピアノ五重奏曲」(1927年)。以上4作品。

 「ヴァイオリン・フェイズ」は、諏訪内が予め録音した演奏をステージ上の2つのスピーカーから再生、それに彼女が生演奏で協演するという仕組み。音のずれの面白さを出す曲で、そう珍しくはない手法の作品だが、スピーカーの音量がどう見ても大きすぎて腑に落ちず、結局同じ音型のみが延々10分も反復されるという単調な印象しか残らなかったのは残念。もう少しバランスと音色に配慮すれば、もっと多彩なポリフォニーが生まれたのではないか? 

 だが今日のプログラムの中で、いわゆる現代音楽っぽいのはこれのみであって、他はすこぶる耳当たりのいい作品ばかり。ただしどれもエネルギッシュで動きの激しい、ヴォルテージの高い作品ぞろい。演奏も熱っぽいことこの上ない。

 川上統の「甲殻」は、角張った響きのユーモアが面白い。プログラム冊子には、前記それぞれの動物のイラストが掲載されていた。
 一方ダルバヴィの三重奏曲は、2008年の作品でありながら、途中にびっくりするような綺麗な音の流れが飛び出して来るなど、変化に富んだ楽しさがある。ピアノと弦が音をずらせつつ鋭く応酬する開始部分を曲の後半で再現させるというのも、やはりヨーロッパの音楽家だな、と微苦笑させられる。

 そして、今日の曲目の中では一番作曲年代が古いオーンスタインの五重奏曲は、終楽章にちょっとオリエント的な節回しも取り入れた、猛烈な運動が延々と繰り返される作品。些か疲労させられるが、ライヒのそれと違い、ナマ音の良さで救われる。

 それにしても、諏訪内晶子のプログラミング、なかなか意欲的だ。

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