2021-06

2021・2・11(木)川瀬賢太郎指揮東京都交響楽団&金川真弓

     サントリーホール  2時

 ベートーヴェン・プロで、「ウェリントンの勝利(戦争交響曲)」、「ヴァイオリン協奏曲」、「交響曲第8番」という一風変わったプログラム。
 当初予定の指揮者とソリストはサッシャ・ゲッツェルとネマニャ・ラドロヴィチだったが、それぞれ川瀬賢太郎と金川真弓に替わった。コンサートマスターは四方恭子。

 「戦争交響曲」では、LA席とRA席の各後方に配置されたバンダがマーチとファンファーレを演奏し、同じくスピーカーからSEによる銃撃音が轟くという形を加えての演奏。LA側の英軍の方が砲の規模で勝り、両軍の勝ち負けもはっきりさせる、という趣向もちゃんと織り込んでいる。言っちゃ何だが、何しろ曲が曲だし、このくらいの細工をしていただかないと、とてもまともに聴いてはいられないシロモノだろう。
 それにしても、ゲッツェルのプログラムを引き継いだとはいえ、川瀬賢太郎はどういうわけかこの「戦争交響曲」に縁があるようで。

 ともあれ指揮者の本領は、当然ながら最後の「第8番」で発揮される。あるフレーズでホルンを強調させるなど、楽器のバランスにも趣向を凝らしてオーケストラ全体の音色を変化に富ませるあたり、随分細かく神経を行き届かせているな、と感心しながら演奏を聴いていた。ただ、都響の音が、何か濁っているのが気にかかる。

 「ヴァイオリン協奏曲」でのソリスト、金川真弓は、先日のヴァイグレ=読響とのブルッフのコンチェルトがあまりに壮麗だったので、今日のベートーヴェンも楽しみにしていた。
 実際の演奏は、小節やそのリズム感を明確に演奏して行くという所謂古典派音楽的なアプローチというよりもむしろ、リズムを揺らせたり、ずらせたりしながら、波打つように音楽を構築して行く演奏のように思えたが、それがベートーヴェンをロマン派的に描き出しているように感じられて、私には実に新鮮に聞こえた。そういう点では、第2楽章などは絶品であったろう。

 第1楽章のカデンツァには例のベートーヴェン自身によるティンパニ入りのピアノ版からの編曲版が使われていて、こういう音楽での自由な飛翔感も、彼女の個性に合っていたように思う。第2楽章最後にも短いカデンツァが挿入されていたが、これもなかなかいい。この個所でソロが即興したのちパッと第3楽章の主題に飛び込むテは、私は大いに気に入っている。以前にも、たとえばヒラリー・ハーンがここでおおわざを聴かせたことがあった。

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