2021-06

2021・2・4(木)沼尻竜典指揮読売日本交響楽団

    東京芸術劇場 コンサートホール  7時

 「都民芸術フェスティバル」参加公演。今日は読響(コンサートマスター長原幸太)の出演で、このところ多忙を極める活躍を展開中の沼尻竜典が客演指揮。

 第1部にワーグナーの「さまよえるオランダ人」序曲と、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」(ソリストは小山実稚恵)、第2部にメンデルスゾーンの「イタリア交響曲」というプログラム。
 曲目表を見た時には、あまりピンと来ないプログラムのように感じられたのだが、実際に聴いてみると、なかなか好い。たとえばワーグナーとチャイコフスキーのアクの強い音楽のあとに、軽快に響き出したメンデルスゾーンの音楽の、何と爽やかなこと。

 実際、この「イタリア交響曲」の、特に第1楽章をこんなに気持よく聴いたことがこれまでにあったかどうか。
 だが今日の沼尻竜典と読響の演奏の面白さは、それだけにとどまらない。軽快闊達な曲想をつらぬいている強い推進性は、終楽章に至り、ますますその激しさを強める。

 以前、この曲をテンシュテットの指揮で聴いた時、終楽章の演奏の陰影の濃さに、なるほどこの楽章はタイトルのイ長調ではなく、イ短調で書かれていたのだ、ということを改めて強く認識させられたものだったが、今日の演奏もある意味でそれに似て、これはイタリアの陽気なサルタレロ(舞曲)どころか、何か巨大なエネルギーが荒れ狂っている世界なのだという印象を与えられた。メンデルスゾーン得意の「スケルツォ」が、最も激しいデモーニッシュな姿で立ち現れたのがこの楽章だと言えるのではないか。

 沼尻は全曲を見事なバランス感でまとめ、読響も沸き立つ演奏でそれに応じ、この「軽快な」交響曲を演奏会全体の頂点とすることに成功していた。

 チャイコフスキーの協奏曲を弾いた小山実稚恵は、まさに完璧な練達のピアニストという風格を漲らせた演奏を聴かせたが、それがいつもよりさらに気魄にあふれたものになっていたのには、少々驚いた。終楽章の頂点での追い込みなど、その音量といい、豪壮さといい、ホロヴィッツもかくやの物凄さだ。そしてステージを揺るがせて弾き終ると、途端にこれもいつも通り、はにかむような笑顔と挙止に戻る人なのであった。

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