2021-06

2021・1・23(土)飯守泰次郎指揮関西フィル ワーグナー特別演奏会

       ザ・シンフォニーホール  4時

 第1部に「タンホイザー」からの「序曲」と「歌の殿堂」と「夕星の歌」、および「トリスタンとイゾルデ」からの「前奏曲と愛の死」を置き、第2部に「ヴァルキューレ」からの「ヴァルキューレの騎行」と「ヴォータンの告別と魔の炎の音楽」、および「神々の黄昏」から「ジークフリートの葬送行進曲」と「ブリュンヒルデの自己犠牲」を置いたプログラム。
 ソプラノの池田香織と、バリトンのミヒャエル・クプファー=ラデツキーが協演した。

 これは「第58回大阪国際フェスティバル2020」と「関西フィル創立50周年記念」の演奏会で、昨年5月30日にフェスティバルホールで開催されるはずだった企画である。プログラムも当初の予定では「《ニーベルングの指環》抜粋」だったのだが、延期開催に際し、歌手陣ともども、大きく変更されたものだ。

 だが、今日の演奏は、特筆すべき出来だったと私は思う。一時は来日不可能とされたクプファー=ラデツキーが━━この人、私はあまりよく記憶していなかったのだが、先年の新国立劇場での「フィデリオ」で悪役ドン・ピツァロを歌った人だった━━安定した手堅いヴォータンを聴かせてくれた。そして絶好調の池田香織が歌うイゾルデとブリュンヒルデが、これまた温かいヒューマンな性格を湛えた表現で、実に素晴らしい。

 そして絶賛すべきは、飯守泰次郎の情感豊かな指揮表現と、関西フィルハーモニー管弦楽団の大熱演だ。
 「タンホイザー」序曲の大詰めの昂揚感からして、今日の演奏はリキが入っているなと思わせたが、第2部に入ってからはそれがますます目覚ましく、4曲ともに濃密な演奏を繰り広げた。特に「ジークフリートの葬送行進曲」は、(ほんの1ヵ所だけを除けば)私が国内で聴いた演奏の中でも一、二を争う演奏だったと言ってもいいほどである。頂点での最強奏個所での気魄など、凄まじいものがあった。
 ただ、お客さんの拍手は不思議なことに、歌手の出る曲の方に集中している。この「葬送行進曲」のあとなどでは、戸惑いがちな短い拍手しか起こらなかったのは残念である。

 以前だったら東京からもワーグナー愛好家たちがたくさん押し掛けたろうが、こういう時世ゆえ、それも成らなかったようだ。だがとにかく、この企画が、規模を縮小したとはいえ、高い水準の演奏で実現できたのを慶ぶべきであろう。

 終演後、明日のびわ湖ホールで担当する「ローエングリン」入門講座第3回(ライトモティーフ解説)に備え、タクシーで新大阪へ向かい、JR新快速で大津へ直行。琵琶湖ホテルに投宿。

コメント

飯守さんの熱演!

東条先生、お会いできて嬉しかったです!遠路はるばるお疲れ様でした。飯守さん、お元気にタクトを振られたのが、頼もしかったです。熱演でした。関西フィルさんも素晴らしかったです。私も、ジークフリートの葬送行進曲には、心打たれましたが、拍手が控えめでしたね。ちょっと残念。関西フィルさん、とても深化していかれてますね。これも、日頃の精進の成果だと敬服します。歌手のラデツキーさんも、池田香織さんも素晴らしかったです。ワーグナーを堪能させていただきましたことに、感謝です!

一年振りに

飯守さんの姿を見てびっくりしました。足取りが覚束なく倒れてしまうんじゃないかと思うほど。インターバルには指揮台置かれたベンチに腰掛けておられて、かなり具合が悪そうに見えました。もう80歳台だし仕方ないことかもと思いましたが、病み上がりだったんですね。急性胆嚢炎で入院しておられた由。演奏が始まるとしっかりしておられたので一安心でした。コロナ禍で一年近くコンサートから遠ざかっていると事情にも疎くなります。極め付けは、会場を間違ってフェスティバルホールに行ってしまい、慌ててタクシーでシンフォニーホールに駆けつけたこと(^^ゞ

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