2021-06

2021・1・19(火)セバスティアン・ヴァイグレ指揮読売日本交響楽団

      サントリーホール  7時

 ヴァイグレが指揮する1月の3つ目(計4回目)の演奏会。R・シュトラウスの交響詩「マクベス」、カール・アマデウス・ハルトマン(1905~63)の「葬送協奏曲」、ヒンデミットの交響曲「画家マティス」が演奏された。

 国内オケの定期としては稀有なほど渋い、馴染みのない曲を並べたプログラムだったが、それでも結構な客の入りだったのは、このところのヴァイグレと読響の右肩上がりの演奏水準が固定客に好感を持たれている所為か。そして事実、聴きに来たお客さんは、コロナ禍と寒風を衝いてわざわざ聴きに来た甲斐があったと、大多数が感じたのではないだろうか。今日の演奏は、どれも素晴らしかった。

 「マクベス」は、この作品の演奏にしては思いがけぬほどの色彩的な変化に富んでいた。下手をすれば雑多な構成になりかねないこの標題音楽が、目覚ましく劇的な様相を備えて再現されていたのである。

 さらに、ナチスから「頽廃音楽」の烙印を押された作曲家ハルトマンが、1939年(第2次世界大戦勃発の年)に作曲したヴァイオリン・ソロと弦楽合奏のための「葬送協奏曲」では━━ヴァイオリンの成田達輝が、鋭利で強い表情のソロを聴かせてくれた。成田の現代ものはこのところ評判がいいようだが、今日の演奏を聴くと、なるほどと納得させられるだろう。

 そして今日の極め付きは、ヒンデミットの「画家マティス」である。この演奏でヴァイグレが読響から引き出した見事な構築は卓越したもので、主題の明確な性格づけといい、全曲の構築の鮮やかさといい、私がこれまで聴いて来たどの演奏よりも刺激的なものだった。
 それは往年のドイツの名指揮者たちが手がけたものとは全く異なった、明快で割り切った演奏で、いかにもヴァイグレらしいやり方だったが、それがこの晦渋な性格を備えた作品を快く聴けた一因だったかもしれない。

 いずれにせよ、この「画家マティス」の演奏での読響の弦も管も完璧な出来で、とりわけ金管楽器のコラールはまるでオルガンのように美しく壮大に、均衡豊かに澄み切って響いていたのが感動的だった━━先日のような粗っぽい音は、もはや全く影を潜めていたのである。

 おそらくこの「画家マティス」の演奏は、ヴァイグレの指揮で読響が生み出した最高の演奏の一つに数えられることになるのではないか。
 コンサートマスターは長原幸太。

コメント

聴きました

画家マチス、ハーモニーの清澄さに感動しました。

素晴らしいプログラムで、どの曲も素晴らしい演奏でした。
マクベスは東条先生とまさに同じ感想で、劇的な表現、ヴァイグレの指揮も表情豊か。後の2曲ほど重視していて臨んだわけではなかったのですが、もっと長く聴いてもいいと思うほど楽しめました。
ハルトマンは、初めて聴く成田さんのアダージョの表現がたまらなく良く、アレグロでの激しさにはしびれました。読響の弦楽合奏も好サポート。
そして画家マティスも素晴らしかった。今日は、読響で聴きたいと思っている音色が聴けました。先生も書かれていますが弦も管も打も、全体的にもよかったし、また小さいキズもなく、キマっていました。

ヴァイグレはヒンデミットに思い入れがある様子。昨年のプログラムを読み返すと、ヒンデミットのオペラも読響とやりたいとか。昨年中止になった「4つの気質」もぜひまた取り上げてほしいし、「気高い幻想」組曲なども良いなと思います。おそらく、ヒンデミットや来季のフランツ・シュミットのようなプログラムが、最もヴァイグレならではといえるでは、と思います。今後も期待したいです。
マイクも多数あった今日の演奏、CDに収録されたら…欲しいです。

聴き逃しました。残念!

やはり素晴らしい演奏だったのですね。地味なプログラミングながら、おそらく渾身の名演が聴かれるだろうとの予感めいたものがありましたが、拝聴できませんでした。

小生は定期会員のためチケットを保有しておりましたが、お正月明けにひいた風邪が抜けず、かかりつけ医によると「新型コロナではなく、インフルエンザでもない、全く心配する必要のない風邪」との診断でしたが、ときおり激しく咳き込むことがあるため、ホール内であまりゴホゴホするわけにもいかんと思い、泣く泣く来場を断念しました。誠に残念であり、当日の録音が会員向けCDとして配布されることを強く願っております。

なお、今回のチケット代については、返還は求めず、そのまま団に寄付させていただきました。このような場合のチケットの取り扱いについて、読響事務局に電話で照会したところ、健康上の問題で来場をとりやめた場合はチケット代返還の対象となる、50%の入場制限で開催することから、席には余裕があり、咳き込むことが心配なら、出口近くのすぐに退席できる場所にお座りいただいてもかまわないので、もし事情が許すならご来場いただきたいが、体調がすぐれないということであればご連絡いただきたい、との丁寧かつ配慮の行き届いた説明があったことを申し添えます。

ヴァイグレさんの指揮については、はからずも来月に読響とのコンビによる「タンホイザー」を拝聴できることになり、大変楽しみにしております。フランツ・シュミットであれば、いつか「7つの封印の書」を指揮していただきたいものです(このご時世、ちょっと難しいでしょうね)。あと、来シーズンの「エレクトラ」がなんとか予定どおり上演されることを期待しております。

KENさま、いつもコメント拝読しております。
実は私の片側の隣人さんも、私の知る限り初めての「欠席」で、事情があるのだろうと思っていました。この時期難しいものがありますね…。早い回復をお祈りしております。
追伸 「7つの封印の書」、詳しくないのですが、興味が出てきました。将来に備えて(?)勉強してみます!

有り難うございました。

tomeさま、暖かいコメントに感謝です。おかげさまで風邪は完治し、22日の東フィル定期から復帰しております(笑)。「7つの封印の書」、小生の愛聴しているのはウェルザー=メストのCDですのでご参考まで。
アヴデーエワ来日中止の報にショックをうけつつ、なんとかゲルバーの最後の来日公演だけは実現するよう切望する今日この頃ですが、東条先生、tomeさま、他の諸賢各位がお健やかにコンサートライフを楽しめますようお祈りしております。

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