2021-06

2021・1・13(水)エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団

   サントリーホール  7時

 都響桂冠指揮者エリアフ・インバルが久しぶりに戻って来て、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲と愛の死」およびブルックナーの「第3交響曲」(初稿版)でスケールの大きな演奏を聴かせた。
 よくぞ来てくれた、と客席はこれも久しぶりに聞く大音量の拍手。飛沫感染防止のためにブラヴォーの声が禁止されていなかったなら、さぞやいっそう沸いた雰囲気になっただろう。

 都響は、これも久しぶりの弦16型の大編成。インバルが求める強靭なデュナミークに富む音楽をリアルに響かせ、ブルックナーでは全管弦楽を挙げて轟いた。インバルの指揮が生み出す引き締まった構築と、豪快で劇的なクレッシェンドは、やはり見事なものだった。
 が、惜しむらくは、やはりオーケストラの音が硬くて、鋭くて、粗くて、美しくないのである。かつてのインバルと都響の演奏に聴かれていたあの管と弦の絶妙なバランス、声部の交錯における完璧さが、今日はほとんど聴かれなかったのだ。「トリスタン」も些か硬質な演奏にとどまった。

 思えば10年前、東日本大震災直後に1ヶ月ほどの演奏活動の空白期間があった後、インバルが戻って来て指揮した時には、都響はふくよかな音色を直ちに復活させていたものだったが━━。それに比べると、(先日も触れたことだが)このたびのオーケストラの状態は、些か重症と言わざるを得ないのか?

 来週のベートーヴェン・プロの時には、もう少し改善されているだろう。だが、インバルのこの指揮を聴くと、月末の大阪フィルとのショスタコーヴィチがいっそう聴きたくなるのは確かだ。

コメント

インバルさんの指揮

東条先生の感想を拝読して、私もインバルさんの指揮を聴きたくなりました。月末の大阪フィルのチケット、ゲット!楽しみです!

前奏曲と愛の死、冒頭は永遠を思わせるほんのひとときのチェロの調べ。ブルックナーはバリバリ響く都響の音が、特にユニゾンで効果を発揮していたように思います。
今回は実現困難と思っていたショスタコーヴィチ第13番(バビ・ヤール)の代わりがブルックナーの3番なのは嬉しく、インバルも来日が叶い、よかった。カメラが複数入っていたようで、いずれYouTubeか何かで観ることができそうですね。
さて、来年3月のインバル都響にバビ・ヤールが。来年こそ聴けることを願います。

久しぶりに初稿の面白さを堪能しました。
聴いていてオヤッ?と思ったのは第4楽章コーダの最後の部分。初稿では、後の改訂稿のように第1楽章の第1主題冒頭のユニゾンではなく、和音の連打で終わるはずが、今回の演奏ではその和音に重ねてトランペットが第1楽章の第1主題冒頭をハッキリと吹いていました。
帰宅してから、配信で聴ける8種類の初稿の演奏を確認しましたが、インバル/フランクフルトを含めて同じことをやっているものはなかったので、これは今回限りの演出だったようです。
でもせっかく初稿で演奏するのだから、最後も楽譜通りにやってもらいたかったです。

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