2021-06

2020・12・9(水)セバスティアン・ヴァイグレ指揮読売日本交響楽団

       サントリーホール  7時

 常任指揮者ヴァイグレが帰って来た。「2週間の待機期間」を経ての来日である。

 外人演奏家崇拝という意味では決してないが、久しぶりに外国人指揮者、それも常任指揮者を迎えての定期演奏会となると、会場の雰囲気も随分違う。演奏にも確固たるメリハリとダイナミックスが生まれるのだ。

 今日のプログラムは、モーツァルトの「ピアノ協奏曲第25番」(ソリストは岡田奏)と、ブルックナーの「交響曲第6番」だったが、何よりもモーツァルトのピアノ・コンチェルトの中で最も壮大なあの「ハ長調」の最初の音が響き出した時には、読響の演奏が伸び伸びとした解放感と、豪壮ともいえるほどスケールの大きな気宇を湛えているのに快さを覚えた。岡田奏の清澄でストレートなソロとともに、このモーツァルトはすこぶる気持良い演奏だった。

 一方、ブルックナーの「6番」は、期待していたのだが、弦12型という編成の所為か、音が少し薄く軽く、痩せていたのが惜しまれる。
 以前、飯森範親と山形響が10型編成でブルックナーの中期までの交響曲を手がけたことがあり、私も大部分を現地で聴いたが、あの時は山形テルサホールという比較的小規模な会場での演奏だったから、それなりのバランス感で聴けたように思う。今回も、もちろんアンサンブルの面ではそれなりの配慮は為されていただろうけれども・・・・。

 それにしてもやはり金管がかなり際立ち、その音もバリバリと荒く、粗暴な趣さえ感じさせたほどで━━読響の金管、なぜこんなに、急に荒い音になったのか?

 しかし、演奏には活気があった。新型コロナが蔓延し始めた今年春以降、日本のオーケストラの公演で、これほど熱狂的な拍手に包まれたコンサートは絶えて久しくなかったのではないか。ヴァイグレも嬉しそうに楽員や聴衆の拍手に応え、それがまた聴衆の好感を呼んでいた。コンサートマスターは長原幸太。

コメント

ヴァイグレさんの想い

12月23日の読響大阪公演にも、ヴァイグレさんが登場なさいます。読売新聞12月3日夕刊に、ヴァイグレさんのインタビュー記事があります。母国ドイツでは、感染拡大で文化全体が隔離状態だそうです。「勇気を持って劇場やコンサートを続けている日本は、本当に素晴らしい。」

充実したコンサートでした!

まずモーツァルトの岡田奏さんの独奏に魅了されました。彼女の演奏を聴くのは2回目(前回も同じ組み合わせ)でしたが、今回の方が絶妙なピアニッシモ、生き生きとした弾むようなリズム、透明感のある音色など、聴かせどころ満載の好演だったと思います。ヴァイグレ指揮読響がソロにしっかり寄り添う伴奏をつけていたところも素敵でした。岡田さんはおめでたと拝見しましたが、コロナ禍で大変な中、くれぐれもご自愛され、元気で可愛い赤ちゃんが無事に誕生するよう心から願っております。

ブルックナーも聴きごたえのある演奏でした。6番はとても好きな交響曲で、あまりブルックナーらしくないところが曲の完成度を高めているように思うのですが(笑・・・かつて西村朗さんが、ブルックナー開始・ブルックナーリズムの多用、ブルックナーユニゾン、ブルックナー休止といった手法は、初歩の作曲法・管弦楽法の講義において、やってはいけないと言われることばかりです、と述べておられた記憶があります)、某在京オケが、外国人指揮者の入国がかなわず、直前になって同曲の演奏を中止したこともあり、聴衆の期待および好感度いずれも極めて高いものがありました。

したがって、少々評価が甘くなっている点はご容赦いただきたいところですが、ただ、東条先生ご指摘のとおり、12編成による限界のようなものを感じさせる演奏ではありました。オケに余裕がなく、強奏部分で響きが濁るように感じられ、あと1プルトずつ弦楽パートを増やしてほしい(なぜそうしなかったのか)と思いました。管楽器も熱演でしたが、弱奏部分での絶妙なニュアンスとバランス、縦の線の揃い方といったところで少し甘さを感じたのも事実です(そのあたりの管楽器のうまさという点では、やはりN響に一日の長がありますね)。

さて、いよいよ第九のシーズンを迎えました。今年は、こちらで読響、日フィル、東響に行く予定ですが、福井敬さん、青山貴さんという最強コンビが登場する大フィルのチケットも購入済でありまして、年末に向けて感染拡大が落ち付き、あまり心配することなく首都圏からの移動が可能となることを切に願っております。

就任2年目のヴァイグレは1年3ヶ月ぶり、今回来られなかったら存在感が薄くなってしまいそうでしたが、来日が叶いよかったです。ひねった選曲が多い定期にしては人も入っており、演奏前後の会場の歓迎ムードもよかった。カンブルランは、楽団員にも聴衆にも愛されていたようでしたから、ヴァイグレにも楽団とより良い関係を築いていってほしいと思います。
ブルックナーは、11月末の読響、井上道義さんの7番が、低弦少なめながら14型だったと思いますので、それを考えると12型か…とも思いましたが、いろいろな制約のもとでも、当初通りの曲目が聴けるようになってきたのは嬉しいです。半年ほど前は、今年も第九が聴けるとは、あまり考えられなかったと思います。
読響の第九のチラシの裏には、こう書いてありました。「(第九は)人々が実際に手を取り合えなくても、音楽で互いをたたえ合い、心を通わせることのできる偉大な作品です。」私は、第九の歌詞を勉強して、単純な「人類愛」とは少し違うふうにもとらえていますが、いずれにしても、第九を演奏するオケも断念したオケも、今年もあと少し、最後までがんばってほしいです。東条先生もお気をつけて。

見事…しかし

読響では井上道義さんのブルックナー7番より上出来でホールがご祝儀もあるので会場がわいていました。ただ、個人的に6番は苦手な曲なので…。そそくさと帰りました。確かにどこのオケも金管が最近締まりがないですね。読響のブル7初日は目立つミスもありましたし。コロナで不安と疲弊感があるのでしょうから大目にみましょう。岡田奏さんは以前ヴァイグレさんとモーツアルトのK467を演奏していましたが、今回も期待どおりでした。カンブルランさんのほうが表現の引き出しが多いような気がして正直懐かしいです。ヴァイグレさんはRシュトラウスの素晴らしい管弦楽曲集のCDがあり、中止になった英雄の生涯を早く演奏していただきたいです。

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